2015年10月11日日曜日

図書館戦争 THE LAST MISSION

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




近未来の日本。本を検閲する「メディア良化隊」と本を守る自衛組織「図書隊」の戦いが激しさを増す中、関東図書隊の特殊部隊タスクフォースに、この世に1冊しかない、自由の象徴である本「図書館法規要覧」を展示する会場の護衛警備の指令が下る。笠原郁は、上官の堂上、同僚の手塚らと共に、この警備にあたるが、ここには図書隊を解散させ社会を正そうとする、ある歪んだ陰謀が隠されていた…。

有川浩の人気小説が原作で、武力による検閲から本を守る防衛組織「図書隊」の活躍を描き、大ヒットとなった「図書館戦争 LIBRARY WARS」の続編である「図書館戦争 THE LAST MISSION」。本作では図書隊壊滅を図る陰謀に立ち向かう、特殊部隊タスクフォースの決死の闘いが描かれる。本作は、あきらめるものと戦うもの、理想へのアプローチの違いと、社会派アクションにジャンル分けされる作品。今回は、郁の同期の手塚の兄による、ある罠によって図書隊が危機に陥る…というミステリーがあるが、これは正直、あまり感心しない。特に最初に郁を罠に落とすのは、必然性を感じないし、その結果も中途半端だ。こうなると、ファンはやはり郁と堂上の、やきもきする恋愛にフォーカスすることだろう。郁は前作同様、頭で考えるより行動してしまうタイプだが、「図書館法規要覧」を守るための命がけの戦いの中でついに想いがあふれ出す場面は見どころだ。少しユルいミステリーをカバーするのは、激しいアクションシーン。本を守るために戦うという異色の世界観の裏には、自由を守る大切な意義がある。郁と堂上の凸凹コンビの不器用な恋愛と同じように、図書隊は、無骨にひたむきに自由を守る。副題は「THE LAST MISSION」だが、ラストにしてほしくないファンも多いはずだ。
【60点】
(原題「図書館戦争 THE LAST MISSION」)
(日本/佐藤信介監督/岡田准一、榮倉奈々、福士蒼汰、他)
(ひたむき度:★★★★☆)