2016年1月17日日曜日

シーズンズ 2万年の地球旅行

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




氷河期が終わり、あらゆる生命が芽吹いた2万年前、地球では、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類など、多種多様な生命が躍動していた。やがて、四季の始まりにより、森が繁栄の時期を迎える。人間も森のいち住人だったが、集落を形成する生活は文明を発展させる一方で、必要以上に自然を破壊していく…。

2万年前からの地球の変遷を描いたネイチャードキュメンタリー「シーズンズ 2万年の地球旅行」は、日本でも大ヒットした「オーシャンズ」「WATARIDORI」のジャック・ペランとジャック・クルーゾが監督を務めている。シーズンズというタイトルから、四季それぞれの動物の生態を追う内容を連想するだろうが、本作は、氷河期から現代までの動物と人間の関係性を四季に例えるという壮大な試みだ。ちょっと残念なのは、試みが壮大すぎて、魅力的な動物の生態がすべて中途半端になったこと。1時間37分では表層的になるのはやむをえないか。

見所は、動物目線でとらえた厳しくも美しい大自然だ。最新の撮影技術やテクノロジーを駆使して描く繊細かつダイナミックな映像が見事だ。特に、オオカミ、ウマ、イノシシたちが森を疾走する場面の迫力は、ぜひ映画館の大スクリーンで堪能してほしい。私は、ネイチャー・ドキュメンタリーが大好きなのだが、本国の仏版では、映像だけでメッセージを感じ取るという演出だそう。木村文乃さん、笑福亭鶴瓶さんの語りは、親しみやすく、記録映画のお固いイメージを和らげてくれるが、ナレーションがいっさいなく純粋に映像のみで構成される、大人仕様の仏版もぜひ見てみたい。映画は、人間が自然を破壊したことによって地球は冬を迎えていると訴える。しかし同時に、冬の後には必ず春が訪れるとも。人間と動物が共存する“春”に希望を託し、行動を起こしたい。
【60点】
(原題「LES SAISONS」)
(仏/ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾ監督/(ナレーション)木村文乃、笑福亭鶴瓶
(映像美度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
シーズンズ 2万年の地球旅行@ぴあ映画生活