2016年7月6日水曜日

フィフス・ウェイブ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


The 5th Wave
圧倒的知能を持つ謎の生命体“アザーズ”によって、4度に渡る攻撃を受け壊滅状態となった地球。人類のほとんどが死滅した中、生き残った女子高生のキャシーは、離れ離れになった弟を救うため、子供たちが拉致された基地へと向かう。だがアザーズは人間に紛れ込み、誰が敵か味方か分からない。おびえながら旅を続けるキャシーは、ベンと名乗る青年に命を助けられる。ベンに惹かれながらも、彼を完全に信頼できずにいたキャシーだったが…。

リック・ヤンシーによるヤングアダルト小説(以下、YA)を原作とするSFミステリー「フィフス・ウェイブ」。地球外生命体の襲撃で壊滅的な状態になった地球の描写が痛ましいということで、熊本地震の被災者の方々に与える影響を考慮して、九州地区では公開が延期になっていた作品だが、6月末以降、ようやくすべての地域で公開されるようになった。物語は、YAらしく薄味で、主人公の成長や恋愛に重点を置く軽い作りだ。そもそも地球外生命体アザーズが、地球を滅ぼすのに、どーしてこうまで回りくどい段階を踏むのか理解に苦しむ。アザーズは人知を超えた知能を誇る生命体という設定だが、普通の生命体である私でも、もっと簡単で確実で効率のいい方法があるのでは?と分かるというのに。アザーズ出現の日から、暗黒(電源シャットアウト)、崩壊(天災)、感染、侵略と、不条理な地球侵略のスケールは無駄に大きいのに、闘うヒロイン・キャシーはいたってフツーの女の子だ。途中、ラブがらみの協力者ベンが登場してキャシーを助けるが、彼の正体に少しひねりがあるとはいえ、どうにも勝てる気がしない。未来を担うべき若者が体制にもの申すのは「ハンガーゲーム」や「ダイバージェント」と同じだが、敵を地球外生命体としたところは新鮮。珍作SFながらも、災害、テロ、威圧的な軍隊と現実を照射しているような不気味な設定の中、等身大のヒロインを魅力的に演じるクロエ・グレース・モレッツの存在のみが救いだ。ヒロインは、致命的となる第5の波“フィフス・ウェイブ”を止めることができるのか? とりあえず映画を見て確かめてもらおう。
【30点】
(原題「THE 5TH WAVE」)
(アメリカ/J・ブレイクソン監督/クロエ・グレース・モレッツ、ニック・ロビンソン、アレックス・ロウ、他)
(不条理度:★★★★☆)
チケットぴあ

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