source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック


キューブリックがルック社に在籍していた時代に撮影した写真のほとんどはモノクロで、カラーはごくわずかしか撮影しなかったようですが、上記はその中でも貴重なカラー写真です。アメリカで最も有名なサーカス「リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス団 (Ringling Bros. and Barnum & Bailey Circus)」の取材時に撮影されたもので、おそらく上がOKテイク、下がボツテイクだと思われます。
あまりにも隙のない構図と絶妙の配色に後年の映画作品群を彷彿とさせますね。5人の女性の重心の縦ラインはいわゆる三点透視図法に沿っていますが、特に下のボツテイクとの比較で分かりやすいのは、真ん中の黄色と黒の傘をさした女性が指し示す手です。各人の視線の方向や足や手の向き、ビンの向きなど、あえてパースに沿わない方向に向けることによってリズムを生み出しています。構図の基本は「揃え」ですが、さらに上を目指すなら「崩し」のテクニックが必要になります。しかも構図を破綻させないように崩さなければなりません。キューブリックはこの時すでに「崩し」のテクニックやセンスも相当なものを持っていたのが分かります。
撮影は1948年ですのでこの時キューブリックはまだ若干20歳。もちろんこの時代にテジカメもなければポラロイドもありません。撮影はほぼ一発勝負と言っていいでしょう。天才少年と呼ばれた写真の才能をすでに如何なく発揮していますね。