2015年2月20日金曜日

きっと、星のせいじゃない。

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








ガン患者の集会で出会った若い男女の恋を描く「きっと、星のせいじゃない。」。難病ものなのに暗さはなく、後味はさわやか。



末期ガンを患う17歳のヘイゼルは、親の勧めでガン患者の集会に参加し、骨肉腫を克服したガスと出会う。ガスはヘイゼルに好意を寄せるが、ヘイゼルは彼を傷つけまいとあえて距離を置くことに。そんなある日、ガスはヘイゼルが愛読する小説の作者にメールを送り返事をもらう。2人は友達の関係のまま、作家が住むオランダに向かうが、そこで作家から思いがけない言葉を投げかけられる。さらに旅の終わりにガスはヘイゼルにあることを打ち明けるが…。



原作は作家ジョン・グリーンが友人をモデルに書いたベストセラー小説「さよならを待つふたりのために」。いわゆる難病ものだが暗さはまったくなく、不思議なほどさわやかなところが何よりも好ましい。鼻からチューブを付け、酸素ボンベが手放せないヒロインのヘイゼルは、13歳から自分の病気と闘っていて、いつも死を意識している大人びた少女だ。恋人はおろか友人さえいない彼女に思いがけない恋が…という展開だが、この物語は観客の予想を鮮やかに裏切っていく。自分のことを“いつ爆発するかわからない手榴弾”に例えて、誰かと深くかかわることを避けていたヘイゼルが、ガスとの恋にときめき、しっかりと他者と向き合う姿には、見ているこちらが勇気をもらうほど。アムステルダムに行き憧れの作家に会うが、そこでは予定調和の感動やなぐさめはないというところも、逆にハッとさせられる。「アンネの日記」のエピソードは少し浮いた感じもあるが、生きることの大切さを強く感じさせてくれた。人は誰もが限られた生を生きていて、その長さが少し違うだけ。死と向き合うことで生を愛おしく思う。秀作「(500日)のサマー」の脚本家は、難病を扱いながら、決して湿っぽくならず若いカップルの感情に素直に寄り添う素晴らしい物語を紡いでくれた。みずみずしさと達者な演技で主人公を演じるのシャイリーン・ウッドリー。やはりこの人は上手い。

【70点】

(原題「THE FAULT IN OUR STARS」)

(アメリカ/ジョシュ・ブーン監督/シャイリーン・ウッドリー、アンセル・エルゴート、ナット・ウルフ、他)

(ポジティブ度:★★★★☆)

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