2015年2月10日火曜日

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








NZで共同生活を送るヴァンパイアたちをモキュメンタリータッチで描くホラー・コメディ「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」。ユルすぎる日常に捧腹絶倒。



現代のニュージーランドの首都ウェリントン。とある一軒家で、379歳のヴィアゴ、183歳のディーコン、862歳のヴラド、8000歳のピーターの4人のヴァンパイアが共同生活を送っていた。目覚ましを夜にセットして目覚め、楽器を演奏したりダンスをしたり、バーで騒いだりと自由きままな生活を楽しむ4人だったが、ある日、ピーターが大学生のニックをうっかり噛んでしまい、彼らの仲間に加わることに。さらに、ニックが人間の親友スチュをシェアハウスに連れてきたことから、思いがけない騒動が巻き起こる…。



昨今流行のヴァンパイアものだが、美しさや怖さとは無縁。共同生活するヴァンパイアたちをTVが取材するという形のモキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)スタイルで描かれるのは、現代を生きるヴァンパイアたちのユルユルの日常だ。登場人物は、個性豊かで気のいいヴァンパイアたちだが、食事(血)や掃除(死体)、共同生活の役割分担など、日常の細かいルールがいちいち可笑しい。一方で、十字架や太陽、銀製品などの苦手アイテム、招かれなければ家に入れないなど、吸血鬼のお約束はきっちり踏襲しているのが律儀だ。これほど生活感にあふれた吸血鬼映画は見たことがない。共同生活ならではのもめ事のバカバカしさや、過去のヴァンパイア映画のパロディ、定番の吸血鬼対オオカミ男の戦いのアホらしさなど、笑いすぎて困ってしまう。そこに穏やかに乱入するのが気のいい人間のスチュで、いかにもヴァンパイア好みの赤いほっぺのスチュを巡って彼らの生活に変化が起こる。スチュはIT関連の技術者で、ささっと検索して昔の恋人を探し出したりと、ヴァンパイアたちに現代性を持ち込み、吸血鬼と人間の良好な関係の架け橋となる存在なのだ。ヴァンパイアという異形の存在は、いわば社会に適合できないマイノリティ。彼らが助け合いながら、生きる道を模索する哀愁漂うコメディとして見ると、実によく出来ている。

【70点】

(原題「WHAT WE DO IN THE SHADOWS」)

(ニュージーランド/タイカ・ワイティティ、ジェマイン・クレメント監督/ジェマイン・クレメント、タイカ・ワイティティ、ジョナサン・ブロー、他)

(バカ受け度:★★★★☆)

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