2015年3月7日土曜日

【ブログ記事】『フルメタル・ジャケット』をより楽しく鑑賞するためのTips

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック






フルメタル・ジャケット [Blu-ray](amazon)




 キネマ旬報DDによる『博士…』(池袋文芸坐のみ)『時計…』『バリー…』『フルメタル…』『アイズ…』上映がもう間近に迫って来ました。そこで「こんな小ネタを知っていればキューブリック作品をより楽しく鑑賞できますよ」という記事を投下したいと思います。今回は『フルメタル・ジャケット』編。尚、この記事はネタバレを含んでいて、過去に映画館や、BDやDVDで鑑賞済みの方に向けたものです。未見の方はまずは作品に集中し、この記事を読まないようにお願いいたします。



(1)オープニングで新兵の髪を刈るバリカンはフレンチ・プードル用で、実際の床屋を現地に呼んで撮影した。



(2)訓練教官のハートマン先任軍曹を演じたリー・アーメイは本物のアメリカ海兵隊の教官だった。当初アーメイはアドバイザーとして映画制作に参加していたが、本物の迫力ある演技を気に入ったキューブリックが教官役に急遽抜擢した。その際、当初教官役にキャスティングされていたティム・コルチェリがキューブリックに不満を告げると、「逃げる奴はベトコンだ、逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ」と叫ぶドアガンナーとして再びキャスティングした。



(3)「訓練歌」や「ミリタリー・ケイデンス」と呼ばれるランニングしながら歌われる猥雑な歌は、様々なパロディにされていて、ファミコンウォーズのCMで使用されたのは特に有名。



(4)リー・アーメイは撮影期間中に骨折してしまい、撮影は一時中断。再開された後、アーメイの演技が格段に進歩していたため、キューブリックはアーメイ出演シーンを全て撮り直した。



(5)トイレの便座の配置は実際のパリス・アイランドでは片側だけだったが、シンメトリー好きのキューブリックの「美的要求」によって両側に配された。



(6)ドアガンナーが無差別発砲していた湿地帯のロケ地はイギリス東部のノーフォーク湖沼地方。東南アジアに見せるために早朝の朝焼けの中撮影された。



(7)虐殺現場のシーンにカメラを担いだキューブリックの三女、ヴィヴィアンが出演している。(こちらを参照)



(8)当初キューブリックは日本の和太鼓を使用したオリジナル曲を依頼していたが、イメージに合わなかったためにボツになり、既存曲以外のサントラは全てアビゲイル・ミード(ヴィヴィアン・キューブリック)が作曲した。



(9)市街戦が行われたフエに見立てたロケ地はロンドンのイーストエンドにあったベクトン・ガス工場の廃墟。キューブリックが破壊する前の工場は『007 ユア・アイズ・オンリー』見ることができる。



(10)戦闘シーンでは実銃の空砲とモデルガン(日本のMGC社製)が使用された。見分け方はこちら



(11)カウボーイが交信する相手のマーフィーの声はキューブリック本人。



(12)当初原作通りにベトコン狙撃兵の断頭シーンが予定され、生首の模型まで試作されたが結局ボツになった。(その生首で海兵隊員がサッカーをするというシーンについての真偽は不明)



(13)散髪シーンがあるので、当然撮影の順序は後半→前半となる。