source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
激動の時代をひたすら家族のために生きた男を描くヒューマンドラマ「国際市場で逢いましょう」。現在の繁栄を築いた世代への敬意を感じる。
朝鮮戦争の混乱の中で、父親と末の妹と生き別れたドクスは、母、妹、弟と共に、避難民としての釜山の叔母のもとで暮らすことに。父に代わって家長として家族の面倒をみるドクスは、西ドイツの炭鉱で働き、ベトナム戦争に従軍するなど、何度も命の危険にさらされる。西ドイツで看護婦として働いていたヨンジャと運命的な恋に落ちて結婚。叔母の店を引き継ぎ、次々に襲い掛かる試練の中、ドクスは懸命に生き抜いていく…。
朝鮮戦争の混乱の中で、父親と末の妹と生き別れたドクスは、母、妹、弟と共に、避難民としての釜山の叔母のもとで暮らすことに。父に代わって家長として家族の面倒をみるドクスは、西ドイツの炭鉱で働き、ベトナム戦争に従軍するなど、何度も命の危険にさらされる。西ドイツで看護婦として働いていたヨンジャと運命的な恋に落ちて結婚。叔母の店を引き継ぎ、次々に襲い掛かる試練の中、ドクスは懸命に生き抜いていく…。
物語は、釜山の国際市場で古い商店“コップンの店”を営む老ドクスの回想形式で進む。朝鮮戦争、西ドイツへの出稼ぎ、ベトナム戦争従軍、分断後の家族離散など、韓国の現代史をなぞりながら、ひたすら家族のために生きた男の人生を描いていく。だが映画は、決してシリアスばかりではなく、ドクスと親友との友情や、ドクスとヨンジャの恋はユーモアたっぷりで思わず笑顔に。この映画はユン・ジェギュン監督の父親世代への感謝の気持ちを伝えるものなのだそう。今の繁栄の礎を築いた世代の苦労を忘れてはいけないという思いが伝わってくる。自分のことより家族の幸せを優先する価値観は、韓国でもすでに過去のものになっているのだろう。主演のファン・ジョンミン、国際派女優キム・ユンジンが好演だが、親友役のオ・ダルスがいい味を出している。さらに東方神起のユンホが韓国に実在する人気歌手ナム・ジンを演じ、短い出番ながら印象的な演技を披露している。かつては過酷な労働のために出稼ぎに行っていた韓国の人々は、今や移民を受け入れ労働力として使う側。本作には、物質的な豊かさより大切なものがあるというメッセージが込められているのだろう。
【65点】
(原題「国際市場」)
(韓国/ユン・ジェギュン監督/ファン・ジョンミン、キム・ユンジン、オ・ダルス、他)
・国際市場で逢いましょう@ぴあ映画生活