2015年5月23日土曜日

イニシエーション・ラブ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


イニシエーション・ラブ<特別限定版> (ミステリー・リーグ)
あるカップルの恋愛模様を2つのサイドから描く異色のラブストーリー「イニシエーション・ラブ」。ラストの前田敦子の表情は、振り返るとちょっと怖い。

Side-A:バブル最盛期の静岡。奥手な大学生の鈴木は、友人に誘われて参加した合コンで、歯科助手として働くマユと出会う。恋愛経験のない鈴木は、おっとりと可愛らしいマユにふさわしい男になろうと髪型や服装に気を使い、懸命に自分を磨くのだが…。
Side-B:就職し東京本社に転勤になった鈴木は、静岡のマユと離れ、遠距離恋愛に。それでも毎週末、静岡に戻ってマユと過ごす鈴木だったが、東京本社の同僚で、洗練された美弥子の出現で心が揺れ始める…。

原作は乾くるみのベストセラー小説。甘いラブストーリーが最後の2行で驚愕のミステリーへと変貌する内容が話題だ。タイトルは。恋愛に絶対はないことがわかる初めての恋、恋愛の通過儀礼(イニシエーション・ラブ)という意味だそう。映画化にあたり、文字から映像へ変換された数々の仕掛けは、時間と空間、そして小道具の使い方というヴィジュアル面で多くの伏線をはっている。恋が始まる高揚感を活写するSide-A。その恋が崩壊していく様を描くSide-B。ストーリーの内容を説明するとどうしてもネタバレになってしまうので、やめておくが、前田敦子演じるマユの、時折遠くを見るような表情のクローズアップが印象的だ。意識的にカメラ目線なのも意味があり、甘えた声でマユが呼ぶ「たっくん」の響きも耳に残る。そして謎のキャスト“亜蘭澄司”。ラストの驚きは映画館で確かめてもらうとして、本作には堤幸彦監督が愛する80年代テイストが満載だ。カセットテープやDCブランド、ヒット曲「ルビーの指輪」。どれもうまく使われている。何しろこの時代、携帯電話(スマホ)がない。だからこそ成り立つ物語なのだ。エンドロールでは80年代大図鑑が解説付きで流れる。この時代はもはや遠い過去なのだ。
【60点】
(原題「イニシエーション・ラブ」)
(日本/堤幸彦監督/松田翔太、前田敦子、木村文乃、他)
(カメラ目線度:★★★★☆)
チケットぴあ

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