source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
コンピューターに支配された世界で生きる意味を問う異色のSFドラマ「ゼロの未来」。壮大すぎるテーマは突き詰めれば“幸せ探し”。
コンピューターに支配された近未来。天才プログラマーのコーエンは、廃墟の教会を住居兼オフィスとし“生きる意味”を教えてくれる1本の電話を待ちながら、謎めいた数式“ゼロの定理”の解明に挑んでいた。ある日、パーティーに連れ出されたコーエンは、そこで魅力的な女性ベインズリーに出会い、心惹かれる。さらにコーエンと同じ天才プログラマーの青年ボブとの間に友情も芽生える。孤独だったコーエンは次第に生きる意味を知ることになるのだが…。
そこは近未来なのか、はたまたパラレルワールドなのか。古い教会に引きこもる主人公コーエンは孤独の中に生きているが、一歩外に出れば、極彩色で猥雑な街並が広がり、しつこい電子広告が常に話しかける。人は孤独だと思っていても、常に監視され、メディアや機械を通して誰かとつながっているのだ。機械を相手に生きているつもりでも、コーエンは恋や友情といった感情に無条件に引き寄せられる。思わせぶりなテーマで複雑そうに見えるこの映画、結局、人はひとりでは生きられないという、ごくごくプレーンなテーマのようだ。コーエンが挑む“ゼロの定理”はさっぱり答がでないが、すべてが虚無だと証明するゼロの数式など、いっそ解けない方がよい。先端的で難解に見えて実は古風なストーリーは、正直感心しなかったが、凝りに凝った映像はいかにもテリー・ギリアム印。色彩の洪水のような街並は、何でも秋葉原にインスパイアされたものだそう。抑圧された世界で心を病む主人公を演じるクリストフ・ヴァルツは完璧にハマリ役。一瞬見ただけでは本人かどうかわからないチョイ役で、ティルダ・スウィントンやベン・ウィショーを起用するなど、無駄に贅沢な作りもまたギリアムらしい。
コンピューターに支配された近未来。天才プログラマーのコーエンは、廃墟の教会を住居兼オフィスとし“生きる意味”を教えてくれる1本の電話を待ちながら、謎めいた数式“ゼロの定理”の解明に挑んでいた。ある日、パーティーに連れ出されたコーエンは、そこで魅力的な女性ベインズリーに出会い、心惹かれる。さらにコーエンと同じ天才プログラマーの青年ボブとの間に友情も芽生える。孤独だったコーエンは次第に生きる意味を知ることになるのだが…。
そこは近未来なのか、はたまたパラレルワールドなのか。古い教会に引きこもる主人公コーエンは孤独の中に生きているが、一歩外に出れば、極彩色で猥雑な街並が広がり、しつこい電子広告が常に話しかける。人は孤独だと思っていても、常に監視され、メディアや機械を通して誰かとつながっているのだ。機械を相手に生きているつもりでも、コーエンは恋や友情といった感情に無条件に引き寄せられる。思わせぶりなテーマで複雑そうに見えるこの映画、結局、人はひとりでは生きられないという、ごくごくプレーンなテーマのようだ。コーエンが挑む“ゼロの定理”はさっぱり答がでないが、すべてが虚無だと証明するゼロの数式など、いっそ解けない方がよい。先端的で難解に見えて実は古風なストーリーは、正直感心しなかったが、凝りに凝った映像はいかにもテリー・ギリアム印。色彩の洪水のような街並は、何でも秋葉原にインスパイアされたものだそう。抑圧された世界で心を病む主人公を演じるクリストフ・ヴァルツは完璧にハマリ役。一瞬見ただけでは本人かどうかわからないチョイ役で、ティルダ・スウィントンやベン・ウィショーを起用するなど、無駄に贅沢な作りもまたギリアムらしい。
【60点】
(原題「THE ZERO THEOREM」)
(英・ルーマニア・仏/テリー・ギリアム監督/クリストフ・ヴァルツ、デヴィッド・シューリス、メラニー・ティエリー、他)