source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(ショートバージョン)
戦争中、貧しかった少女時代を過ごした市子は、家族のために働き、過去を封印して生きてきた。初恋の人である宮謙一郎が世界的な画家になっていることを知り、思い切って彼の個展を見るために軽井沢へとやってくる。滞在中、市子は、行く先々でさまざまな人に出会い、時に遠い記憶が蘇る日々を送るが…。
故・岡本喜八監督夫人で、プロデューサーでもある岡本みね子さんが旧姓の“中みね子”名義で初監督に挑んだヒューマン・ドラマ「ゆずり葉の頃」。老女が初恋の人を訪ねることで、人生や親子関係をふりかえるという、ごくささやかな物語だが、八千草薫、仲代達矢の両名優が演じることで、ぐっと味わい深く品格がある作品になっている。主人公の市子は、上品で美しい老婦人。市子と出会う人がついつい彼女に優しくしてしまうのは、そこに理想の女性像を重ねるからだろうか。物静かで少女のように可愛らしい市子だが、自分の身の振り方をしっかりと考え、他人のアドバイスを聞くことはあっても、自分でしっかりと考え行動している姿が、とてもりりしい。年齢を重ねてますます初々しい八千草薫のたたずまいは何と美しいことか。水面に写る立ち姿など、一枚の絵のようだ。優しいけれど芯が強いヒロインの存在感がこの映画の最大の魅力で、端正な佳作に仕上がった。
故・岡本喜八監督夫人で、プロデューサーでもある岡本みね子さんが旧姓の“中みね子”名義で初監督に挑んだヒューマン・ドラマ「ゆずり葉の頃」。老女が初恋の人を訪ねることで、人生や親子関係をふりかえるという、ごくささやかな物語だが、八千草薫、仲代達矢の両名優が演じることで、ぐっと味わい深く品格がある作品になっている。主人公の市子は、上品で美しい老婦人。市子と出会う人がついつい彼女に優しくしてしまうのは、そこに理想の女性像を重ねるからだろうか。物静かで少女のように可愛らしい市子だが、自分の身の振り方をしっかりと考え、他人のアドバイスを聞くことはあっても、自分でしっかりと考え行動している姿が、とてもりりしい。年齢を重ねてますます初々しい八千草薫のたたずまいは何と美しいことか。水面に写る立ち姿など、一枚の絵のようだ。優しいけれど芯が強いヒロインの存在感がこの映画の最大の魅力で、端正な佳作に仕上がった。
【65点】
(原題「ゆずり葉の頃」)
(日本/中みね子監督/八千草薫、仲代達矢、風間トオル、他)
・ゆずり葉の頃@ぴあ映画生活