2015年6月25日木曜日

【関連書籍】『スタンリー・キューブリック:ニュー・パースペクティブ』Stanley Kubrick: New Perspectives

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック



Stanley Kubrick: New Perspectives (英語)


 キューブリックの研究資料本が2015年6月23日に発売になっています。この本はドイツのタッシェン社が出版した『ザ・スタンリー・キューブリック・アーカイブ』に掲載された資料以外で、ロンドン芸術大学にあるキューブリックの資料を保管・管理している施設『スタンリー・キューブリック・アーカイブ』(ややこしい)に遺された資料を掲載しているようです。ゲンブリッジ大学の映画学博士タチアナ・リャイッチ、BFI(イギリス映画協会)のピーター・クレイマー、スタンリー・キューブリック・アーカイブの学芸員であるリチャード・ダニエルズの三名が著者に名を連ねています。

 書籍『ザ・スタンリー・キューブリック・アーカイブ』や、『スタンリー・キューブリック展』はドイツが主導していましたが、ここに来てイギリス勢が巻き返しを図っているようです。そもそも、クリスティアーヌがキューブリックの死後も居住していて、なおかつキューブリックも愛着のあったイギリスではなく、自身の出身国であるドイツが主導してきたのは不自然でなりませんでした。クリスティアーヌはロンドン芸術大学にキューブリックの資料を寄贈したわけですから、本来ならイギリスが主導してしかるべきです。

 確証はありませんが、イギリスの映画関係者や出版社はこういったキューブリックの遺産の再評価に関心が薄かったのではないでしょうか。仕方がないのでクリスティアーヌは弟のヤン・ハーランと相談し自身の出身国でもあり、キューブリック人気の高いドイツに出版の企画を持ち込んだのではないかと考えています。その後『スタンリー・キューブリック展』は世界各地で好評を持って迎えられ、書籍も増刷に次ぐ増刷、ここに来てやっとイギリスが重い腰を上げた印象です。

 まあ、何にしてもロンドンが遠いこの極東の国に住む者にとっては、資料が公開されるのは喜ばしい限りです。もちろん邦訳されれば更に嬉しいですが、それは無理でしょうね。そのうち内容が明らかになると思いますので、そうなればまた記事にしたいと思います。また、我慢できなくて早々に購入してしまうかもしれません。その場合も記事にしたいと思います。