source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
昆虫たちの知られざる生態に迫るネイチャー・ドキュメンタリー「アリのままでいたい」。アナ雪をパクッたようなタイトルで堂々と勝負するところが好き♪
昆虫写真の世界的権威として知られ、65冊以上の書籍を出版する生物生態写真家・栗林慧。彼が、３年もの歳月をかけて開発した特殊３Ｄカメラを使って撮影するのは、カブトムシ、クワガタ、カマキリなど。昆虫たちの弱肉強食の死闘と神秘的な生態をとらえていく…。
ネイチャー・ドキュメンタリーでは、近年、より小さな生物に光を当てて撮影し、自然界の脅威に迫るものが多い。本作で撮影に使われた特殊３Ｄカメラは通称「アリの目カメラ」。草むらに潜む昆虫たちと同じ目で世界を見ることができる画期的なカメラだ。昆虫にここまで接近することは日常ではまずないし、通常では絶対に見られない角度からの撮影には、目を見張る。貴重な食料である樹液を巡ってカブトムシとクワガタが激突するバトルは、まるで往年の怪獣映画を見ているよう。もっとも「虫は苦手！」という人にはそもそも勧められなし、全体の作りは、いわゆる教育映画のような語り口で、途中に登場するコミカルなアニメパートは、大人の観客には逆に興ざめかもしれない。だが、ハリウッドが作るネイチャー・ドキュメンタリーのドラマ性や、ヨーロッパの記録映画の抒情性よりも、本作は、大人も子供も楽しめる親しみやすさを目指したのだろう。夏休みファミリー映画として見るのももちろんいいが、人類が誕生するはるか以前、４億年前に生まれた昆虫たちの原初的な生命力を目の当たりにして「生」のエネルギーを実感したいところだ。主題歌は福山雅治さんの「蜜柑色の夏休み 2015」。
昆虫写真の世界的権威として知られ、65冊以上の書籍を出版する生物生態写真家・栗林慧。彼が、３年もの歳月をかけて開発した特殊３Ｄカメラを使って撮影するのは、カブトムシ、クワガタ、カマキリなど。昆虫たちの弱肉強食の死闘と神秘的な生態をとらえていく…。
ネイチャー・ドキュメンタリーでは、近年、より小さな生物に光を当てて撮影し、自然界の脅威に迫るものが多い。本作で撮影に使われた特殊３Ｄカメラは通称「アリの目カメラ」。草むらに潜む昆虫たちと同じ目で世界を見ることができる画期的なカメラだ。昆虫にここまで接近することは日常ではまずないし、通常では絶対に見られない角度からの撮影には、目を見張る。貴重な食料である樹液を巡ってカブトムシとクワガタが激突するバトルは、まるで往年の怪獣映画を見ているよう。もっとも「虫は苦手！」という人にはそもそも勧められなし、全体の作りは、いわゆる教育映画のような語り口で、途中に登場するコミカルなアニメパートは、大人の観客には逆に興ざめかもしれない。だが、ハリウッドが作るネイチャー・ドキュメンタリーのドラマ性や、ヨーロッパの記録映画の抒情性よりも、本作は、大人も子供も楽しめる親しみやすさを目指したのだろう。夏休みファミリー映画として見るのももちろんいいが、人類が誕生するはるか以前、４億年前に生まれた昆虫たちの原初的な生命力を目の当たりにして「生」のエネルギーを実感したいところだ。主題歌は福山雅治さんの「蜜柑色の夏休み 2015」。
【６０点】
（原題「アリのままでいたい」）
（日本／鴨下潔監督／（声）DAIGO、吉田羊、杉咲花、他）
