2015年7月18日土曜日

インサイド・ヘッド

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


インサイド・ヘッド オリジナル・サウンドトラック
頭の中の感情たちを主人公にしたファンタジー・アニメーション「インサイド・ヘッド」。映像も美しいが、何と言っても物語が深い。

11歳の少女ライリーは、父親の仕事の都合で、住み慣れたミネソタの田舎町から大都会サンフランシスコへと引っ越す。新しい生活に慣れようとするが、不安や寂しさのためライリーの心は不安定に。ライリーの頭の中では、ヨロコビ、ムカムカ、イカリ、ビビリ、カナシミの5つの感情たちが、ライリーのためを思ってぶつかりあっていたが、ライリーの不安な心が感情たちにも影響し、やがて大事件へと発展してしまう…。

ディズニー/ピクサーは、車やおもちゃ、魚や飛行機などが豊かな感情を持って活躍する感動作を生みだしてきたが、本作は、ついに感情そのものが主役となった。何やら最近、似たような設定の日本映画があった気がするが、こちらは喜び、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみというそれぞれの感情の大切な役割を掘り下げ、並行して思春期の少女の不安、さらには親たちのとまどいまで描写するから、心理学をも睨んだ深淵なストーリーに仕上がっている。とはいえ、ディズニー/ピクサーのアニメならではの分かりやすさ、楽しさ、美しさやワクワク感は健在なので、安心してほしい。5つの感情たちの目的は、ライリーを幸せにすること。そんな中、ライリーを悲しませることしかできないカナシミの本当の役割に少しずつ迫っていくプロセスが秀逸だ。思い出ボールを追ってヨロコビとカナシミが冒険を繰り広げる世界はカラフルでファンタジックだが、それぞれの場所は、私たち人間の弱点を突いていて考えさせられる。大切なものを忘れたり置き去りにする自分。大好きな人たちに不機嫌な態度をとる自分。それらをすべてさらけだせる相手がいてこそ、本物の絆が生まれる。カナシミの役割の秘密を知ったとき、子供も大人も、そして感情たちまでも成長を遂げる、この物語の素晴らしさが分かるはずだ。本編の前に付随する短編「南の島のラブソング」は、ひとりぼっちの火山が主人公。こちらもがまた味があるストーリーで、おすすめである。
【80点】
(原題「Inside Out」)
(アメリカ/ピート・ドクター、ロニー・デル・カルメン監督/(声)エイミー・ポーラー、ィリス・スミス、ルイス・ブラック、他)
(成長物語度:★★★★☆)
チケットぴあ

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