2015年8月30日日曜日

S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


劇場版『S-最後の警官-奪還』OFFICIAL BOOK (SHOGAKUKAN Visual MOOK)
(ショートバージョン)
都内でバスジャック事件が発生し、一號らNPSメンバーは現場へと急行するが犯人の要求はなく、どこか違和感を感じる。同じ頃、太平洋沖で巨大船が何者かに乗っ取られる大事件が発生。日本全土を壊滅させるほどの核燃料を積んだその船を巡り、緊張が走る中、スピーカーから聞こえてきた声は、一號とは因縁深い“あの男”のものだった…。

原作は「海猿」シリーズで知られる小森陽一の人気コミック。今回のポリスアクションドラマ「S エス 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」は、日本のほとんどが吹っ飛ぶほどの核燃料を積んだ巨大輸送船をジャックされた非常事態を回避するためのテロリストとの心理戦を描く物語だ。ボクサーから転身し警察官になった異色の経歴を持つ神御蔵一號がライバルの天才スナイパー蘇我伊織らと時に対立しながら事件に立ち向かう。劇場版では、理不尽な要求をつきつける国際テロリスト・正木の真の目的と彼の知られざる過去が明かされる点に注目だ。警察庁特殊急襲捜査班(NPS)、警視庁特殊部隊(SAT)、警視庁特殊犯捜査係(SIT)と、それぞれ役割や権限が異なる組織が反目する中、今回は海神(ポセイドン)こと海上保安庁特殊警備隊(SST)まで加わっているのだから、なかなかややこしい。日本の治安を守るという目的は共通なのに、やり方が違うばかりにこじれる関係は政治的ですらある。もっともドラマは硬派というより、ライバル関係や幼馴染の恋など、相変わらずのユルめの展開なので、ドラマファンにはある意味、安心感があるだろう。犯人の制圧ではなく確保を目的とするNPSは、人を癒す手を持つ主人公をはじめ、どこか運任せのところがあり、一概に賛成できない。それでも愚直なほどまっすぐな主人公・一號の情熱は見ていて清々しい。
【50点】
(原題「S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」)
(日本/平野俊一監督/向井理、綾野剛、新垣結衣、他)
(スケール度:★★★☆☆)
チケットぴあ

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