source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
現在GUで販売中の『2001年宇宙の旅』コラボ。Twitterなどを見る限り人気になっているようです。
現在ではすっかり映画コラボの定番アイテムと化した感のあるキューブリックアパレルですが、キューブリックは自作の版権ビジネスを好まず、そのまま逝去してしまったため、最近までその権利関係は宙に浮いたままでした。それがなぜ昨今のリリースラッシュへと変わったのかというと、伝え聞くところによるとキューブリックサイドがワーナーに版権管理を一元化したため、とのことです。そのため現在公式商品化できるのはワーナーが権利を持つ『ロリータ』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』となりますが、現在までで商品化が確認されているのは『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』の4作品になります。
権利問題をどう処理しているか正確なところは部外者である管理人にはわかりませんが、時系列を整理することによってある程度経緯が見えるのではないかと思い、ここに情報を整理してみたいと思います。
2014年12月:COACHの2014年秋コレクションに『シャイニング』のアポロ11セーターにインスパイアされたセーターが登場
コーチがキューブリックサイドやワーナーに許可を得てデザインしたものか、そうでないものかは不明です。この時点ではキューブリック財団はまだ活動を(公式には)スタートさせていませんでした。しかし、このことがオフィシャル化の動きを促したことは十分考えられます。
2016年6月:「Stanley Kubrick」公式Twitterアカウント、公式Facebook開設
キューブリックの権利団体(キューブリック財団)がTwitterとフェイスブックの公式アカウントを開設したのがこの時ですが、権利団体自体はそれ以前から存在し、準備をしていたと考えるのが妥当でしょう。
2017年2月:オフィシャルアパレルとして初めて『時計じかけのオレンジ』Tシャツが登場
2月21日に『アメリカの映画館チェーン「アラモ・ドラフトハウス・シネマ」で『時計じかけのオレンジ』を特別上映する際、前売りチケットの特典として公式Tシャツが登場しました。これが管理人が把握している最古の公式アパレルです。ただ、もしかしたらこれ以前に公式アパレルのリリースがあったかもしれません。
2017年10月:アンダーカバーが『シャイニング』の双子の少女をモチーフにしたコレクションを発表
アンダーカバーによるキューブリック・インスパイアはこれが最初になります。
2017年11月:H&Mが『シャイニング』の双子の少女Tシャツを販売
管理人がこのTシャツの存在に気がついたのが11月でしたが、発売はそれ以前だと思います。急いで店舗に買いに走りましたが季節柄Tシャツの取り扱いはなく、結局ネットショップで購入しました。
2018年1月:アンダーカバーが『2001年宇宙の旅』にインスパイアされたコレクションを披露
アンダーカバーが2018-2019秋冬メンズコレクションで『2001年宇宙の旅』にインスパイアされたコレクションを披露しました。
2018年04月:イオンスタイルから『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『フルメタル・ジャケット』のTシャツが発売
おそらくキューブリックアパレルが大々的に認知されたのは、この時のイオンが初めてだと思います。そしてもちろん、日本のメーカーで公式アパレルを発売したのもイオンが初になります。管理人も購入早々ツイートしましたが、その直後からイオンのネットショップが繋がりにくくなるという大失態を犯してしまいました。関係者の皆様、その節は大変ご迷惑をおかけいたしました(汗。それだけキューブリックアパレルを望んでいたファンが多かったという証左なのですが、980円(GWのセールでは2点以上で750円)でという低価格も話題になりました。なぜなら非公式(海賊版)の輸入Tシャツを5、6千円で買わされていたファンからすればタダみたいなものだったからです(笑。ネットメディアもこの話題に飛びつき、キューブリックファン、映画ファンの間ではちょっとしたトピックになりました。
2019年1月:アンダーカバーが『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされたコレクションを披露
『2001年…』に引き続き、アンダーカバーが2019-2020秋冬メンズコレクションで『時計じかけのオレンジ』にインスパイアされたコレクションを披露しました。
2019年4月:イオンで『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『フルメタル・ジャケット』Tシャツが発売
昨年に引き続きイオンでキューブリックコラボが発売されました。この年の秋にもイオンは『時計…』『フルメタル…』のロンTを発売しています。
2019年6月:GUのより『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』Tシャツが発売
昨年のイオンのヒットを知ってか、GUが『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』Tシャツを販売しました。特に『シャイニング』の双子の少女Tシャツはメンズなのに女子に大人気で争奪戦になり、メルカリなどで転売される騒ぎとなりました。
2019年9~10月:ZARAより『シャイニング』コラボアイテムが次々登場
H&Mに負けじとZARAもキューブリックコラボを発売。特に双子の少女Tシャツはやはり人気だったようです。
2020年1月:<サンキューマートより『シャイニング』双子の少女と『時計じかけのオレンジ』アレックスTシャツが発売
ローティーン女子向けのショップ、サンキューマートでも390円という驚きの低価格でキューブリックアパレルが発売になりました。「ローティーンに(エロ・暴力描写が多い)キューブリック作品は・・・」という向きもあろうかと思いますが、個人的には全く問題ないと思っています。遅かれ早かれ拗れる人は拗れるもんです(当人比)。
上記以外にもWEGO、FRAY I.D、FURFUR、ヴィレッジヴァンガード、メディコムトイ、ニコル、ハードコアチョコレート、グッドロックスピード、Noodle、FREAK'S STORE、SLOBE IENALE、jouetie、BEAMS、パニカムトーキョー、niko and...、ユナイテッド・アローズ・グリーンレベールなど、日本の主要なアパレルメーカーは一度はキューブリックコラボをリリースしているのではないでしょうか。そして今夏は個人的に「本命」と目していたユニクロのUTから『2001年…』コラボが発売される予定になっています。
こうして振り返ると、やはり2018年のイオンが転機だったと思います。旧来からのキューブリックファンはもちろん、キューブリック作品を知らない映画ファン、そしてそもそもそんなに映画に興味を持っていなかったライトなファンまで巻き込んだ「ファッションアイコン」としてキューブリック作品が扱われるようになりました。もちろんそれ以前から、ヴィレッジヴァンガードなど輸入雑貨を扱う店ではポスターやポストカードなどが販売されていて、キューブリック作品で自室を飾るるいうことはファンの間では普通に行われていました(私も例外ではありません。大汗)。ですが、「ポスターを部屋に飾る」と「Tシャツを着て外を歩く」では大きく意味合いが違います。現在のキューブリックアパレルの頻発と、それを着て街を闊歩するファン(もちろんそんなにファンじゃなくてもOK)の出現は、旧来からのファンからすると「こんな時代が来るなんて!」と、とても信じられませんし、また嬉しくも思います。
当ブログやツイッターで何度も繰り返していますが、「これをきっかけにキューブリックファンが増えればいいことなので、未視聴で着ても全く問題ない」というのが管理人の立場です。1998年に個人ホームページとして開設、2006年にブログに移行して以来ずっとネットの片隅で細々と「キューブリック!」と叫び続けていた管理人にしてみれば「もっとやって!」とさえ思っています(笑。キューブリック存命時代を知らない若いファンも大いにキューブリック作品にハマっていただき、その魅力(肯定的でも否定でも)を語り合っていただけたら、望外の喜びであると声を大にして申し上げたいと思います!