source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
孤独なヴァンパイアの少女と人間の青年の恋を描く異色のホラー映画「ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女」。クールなモノクロ画像と黒のチャドルはヴァンパイア映画によく似合う。
イランのゴースト・タウン、バッド・シティは、ジャンキー、娼婦、ポン引き、犯罪者などの吹き溜まりの街。そこには、闇夜に出没する黒いチャドルを身にまとった一人の少女がいた。彼女の正体は、町の悪人たちを襲っては血を吸うヴァンパイアだった。ある時、少女はギャングを襲い、その後、ギャングの金と麻薬を奪った孤独な青年と出会う。互いの素性を隠しながら恋に落ちた二人だったが…。
イラン系米国人の新鋭女性監督アナ・リリ・アミリプールによるヴァンパイア映画だが、無国籍なムードと、ジャンルを縦横にクロスする不思議な面白さがある。モノクロのスタイリッシュな映像はジム・ジャームッシュやデヴィッド・リンチを連想するし、犯罪と死の臭いが常に漂う物語はフィルム・ノワールのよう。さらに、音楽も凝っていて、ロック、テクノ風、マカロニ・ウエスタン風の音楽まで使われている。数少ないセリフはペルシャ語、ヴァンパイアの少女が常に身にまとうのは黒いチャドル(イスラム女性が頭から全身をすっぽりと覆う布)。つまり、映画や音楽、ファッションとすべてがミックスされて“アナ・リリ・アミリプール映画”になっているのだ。物語よりも映像の方が決定的に記憶に残るのは、この映画の場合は欠点にはなっていない。少女が深夜の街をスケボーで移動する姿、幼い少年に「いつも見ている」とささやく顔、そして物語に常に寄り添う一匹の猫。あまりに印象的なショットが多く、それらすべては、暗く美しい夢を見ているようだった。イラン、英国、米国と複数の出自を持つアナ・リリ・アミリプール、面白い映像作家である。
イランのゴースト・タウン、バッド・シティは、ジャンキー、娼婦、ポン引き、犯罪者などの吹き溜まりの街。そこには、闇夜に出没する黒いチャドルを身にまとった一人の少女がいた。彼女の正体は、町の悪人たちを襲っては血を吸うヴァンパイアだった。ある時、少女はギャングを襲い、その後、ギャングの金と麻薬を奪った孤独な青年と出会う。互いの素性を隠しながら恋に落ちた二人だったが…。
イラン系米国人の新鋭女性監督アナ・リリ・アミリプールによるヴァンパイア映画だが、無国籍なムードと、ジャンルを縦横にクロスする不思議な面白さがある。モノクロのスタイリッシュな映像はジム・ジャームッシュやデヴィッド・リンチを連想するし、犯罪と死の臭いが常に漂う物語はフィルム・ノワールのよう。さらに、音楽も凝っていて、ロック、テクノ風、マカロニ・ウエスタン風の音楽まで使われている。数少ないセリフはペルシャ語、ヴァンパイアの少女が常に身にまとうのは黒いチャドル(イスラム女性が頭から全身をすっぽりと覆う布)。つまり、映画や音楽、ファッションとすべてがミックスされて“アナ・リリ・アミリプール映画”になっているのだ。物語よりも映像の方が決定的に記憶に残るのは、この映画の場合は欠点にはなっていない。少女が深夜の街をスケボーで移動する姿、幼い少年に「いつも見ている」とささやく顔、そして物語に常に寄り添う一匹の猫。あまりに印象的なショットが多く、それらすべては、暗く美しい夢を見ているようだった。イラン、英国、米国と複数の出自を持つアナ・リリ・アミリプール、面白い映像作家である。
【70点】
(原題「A GIRL WALKS HOME ALONE AT NIGHT」)
(アメリカ/アナ・リリー・アミールポアー監督/シェイラ・ヴァンド、アラシュ・マランディ、マーシャル・マネシュ、他)
(無国籍度:★★★★☆)
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・ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~@ぴあ映画生活