2015年11月10日火曜日

サヨナラの代わりに

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


You're Not You
弁護士で優しい夫エヴァンと共に充実した日々を送る35歳のケイトは、ある日、身体に小さな異変を感じる。病院で、難病・筋委縮側索硬化症(ALS)と診断され、1年半後には車椅子生活となったケイトは、患者として扱うのではなく、友人として話を聞いてくれそうな女子大学生ベックを介護人として雇う。自由奔放で家事さえ満足にできないベックと完璧主義者のケイトは、ことあるごとに対立するが、ベックが、夫の浮気を知ったケイトの家出を助けたことから、本音で語らう友人になっていく。だが2人に残された時間はあまりに少なかった…。

オスカーを2度受賞している若き名優ヒラリー・スワンクが難病患者に扮する人間ドラマ「サヨナラの代わりに」は、余命を告げられた女性と夢に挫折した女子大生が、絆を深める物語だ。ALSという難病は、四肢の自由は奪われるが、知能や知覚は保たれる。入念にリサーチを重ねたというスワンクは、さすがの演技力で困難に立ち向かう女性を演じていて上手い。実話ではないが、こういう難病を扱う映画に悪口はいいにくい。あえて言うならば、エミー・ロッサム演じるベックが歌手を目指す必然性があまりないこと。むしろ音楽で重要なのは、ベックとケイトが手と指を重ねてピアノを弾くシーンだ。介護する人とされる人、通訳や介助などは実利的なことだが、やはりパートナーとして心を通わせ友情を育むことが、患者の人間としての尊厳へとつながる。ラストにケイトや周囲が選ぶ選択には、さまざまな意見があるだろう。それも含めて、生きる意味をしっかりと考えたい。
【60点】
(原題「YOU’RE NOT YOU」)
(アメリカ/ジョージ・C・ウルフ監督/ヒラリー・スワンク、エミー・ロッサム、ジョシュ・デュアメル、他)
(友情度:★★★★☆)
チケットぴあ

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サヨナラの代わりに@ぴあ映画生活