source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
母親のいいつけを守り、いい学校に入りいい人生を送るため、9歳の少女は、友達も作らず猛勉強をする毎日を送っていた。ある日、隣家に住む風変りな老人が飛ばした紙飛行機が家に舞い込み、そこに書かれてた物語の続きが読みたくて、女の子は隣家を訪ねていく。壊れた飛行機を修理したり、夜空を眺めたりしているその老人は、昔は飛行機乗りで、砂漠に不時着した時に出会った星の王子の話をしてくれた。しかしある時、老人が病に倒れてしまう…。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」を初めてアニメ映画化した「リトルプリンス 星の王子さまと私」は、二重構成という複眼を持っている。原作の物語と、それを読む(聞く)少女の冒険の物語。アニメーションのビジュアルもまた、ハリウッドの最新技術による高度なCGと、原作の挿絵の純朴さを活かしたぬくもりのあるストップモーション・アニメ。2つの世界はいつしか呼応し、原作が持つ普遍的なメッセージ「大切なものは目には見えない」を現実世界に住む観客に伝えてくれる。9歳の少女は母親のいいつけを守る“いい子”だが、老人という初めての友達から“星の王子さま”の物語を聞くことで、子どもらしい冒険心に目覚めた。原作を再構築するのではなく、あくまでも忠実に語りながら、最初は現実に物語が溶け込み、次第に物語が現実を侵食し、さらには星の王子さまが意外な形で少女の前に現われる…という構成が実に上手い。「大人になっても子供の心を忘れてはいけない」。言うのは簡単だが、悲しみや不条理、諦念を知った大人には、それはとても困難なことだ。この映画の中にも、現実を風刺するかのようなキャラクターもいる。だが王子さまに大切なものに気付かせてくれたキツネがいたように、女の子に冒険する勇気をくれた老人がいたように、自分のまわりの“目には見えない大切なもの”を知るヒントはきっとある。このアニメーション、子どもよりむしろ大人がみるべきだ。原作が幅広い世代に愛されているのが改めて納得できる。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」を初めてアニメ映画化した「リトルプリンス 星の王子さまと私」は、二重構成という複眼を持っている。原作の物語と、それを読む(聞く)少女の冒険の物語。アニメーションのビジュアルもまた、ハリウッドの最新技術による高度なCGと、原作の挿絵の純朴さを活かしたぬくもりのあるストップモーション・アニメ。2つの世界はいつしか呼応し、原作が持つ普遍的なメッセージ「大切なものは目には見えない」を現実世界に住む観客に伝えてくれる。9歳の少女は母親のいいつけを守る“いい子”だが、老人という初めての友達から“星の王子さま”の物語を聞くことで、子どもらしい冒険心に目覚めた。原作を再構築するのではなく、あくまでも忠実に語りながら、最初は現実に物語が溶け込み、次第に物語が現実を侵食し、さらには星の王子さまが意外な形で少女の前に現われる…という構成が実に上手い。「大人になっても子供の心を忘れてはいけない」。言うのは簡単だが、悲しみや不条理、諦念を知った大人には、それはとても困難なことだ。この映画の中にも、現実を風刺するかのようなキャラクターもいる。だが王子さまに大切なものに気付かせてくれたキツネがいたように、女の子に冒険する勇気をくれた老人がいたように、自分のまわりの“目には見えない大切なもの”を知るヒントはきっとある。このアニメーション、子どもよりむしろ大人がみるべきだ。原作が幅広い世代に愛されているのが改めて納得できる。
【70点】
(原題「THE LITTLE PRINCE」)
(フランス/マーク・オズボーン監督/(声)ジェフ・ブリッジス、マッケンジー・フォイ、レイチェル・マクアダムス、他)
(大人向け度:★★★★☆)
・リトルプリンス 星の王子さまと私@ぴあ映画生活