source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
カットニス率いる第13地区の反乱軍はついに、スノー大統領が支配する独裁国家との最終戦争に突入する。ゲイル、フィニック、そして助け出したピータを従え、カットニスは、スノー大統領暗殺作戦を決行。しかし、スノーはそれを見越して反乱軍に死のトラップを仕掛けていた。カットニスは、これまでのどのゲームの戦闘よりも困難で非道徳的な決断を迫られるが…。
スーザン・コリンズのベストセラー小説を映画化した人気シリーズ最終章の後編「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」。ついに物語が完結する。だがこのシリーズ、FINALが最もテンションが低いという実に珍しい作品なのだ。前作「レジスタンス」がいまいち盛り上がらないのは、すべてはこの完結編「レボリューション」に向け、V字曲線を描くためだと思っていたのに、最後もまたまた低体温のような展開とは。というのも、物語を牽引してきた狂気のようなハンガー・ゲームがないのだから、やむを得ないというものである。つまり、カットニスが独裁者スノー暗殺のため敵地に乗り込む行為そのものが、今までのどのゲームより過酷な“ハンガー・ゲーム”なのだということらしい。カットニスを広告塔として利用する反乱軍のリーダーのコイン首相の真意、洗脳され記憶が混濁すピータの苦悩、さらに幼馴染のゲイルと偽りの恋人同士を演じてきたピータとの間で揺れ動くカットニスの心情…。すべてに答が用意され、思いがけないどんでん返しも待っている。結末は映画を見て確かめてほしいが、それにしてもこのサバイバル・アドベンチャーシリーズのラストは異色だ。ゆったりと自然に溶け合うような豊かさは、テンションこそ下がるが、じんわりと胸に染みて忘れがたい。若きオスカー女優・ジェニファー・ローレンスの出世作であること、今は亡き名優フィリップ・シーモア・ホフマンの在りし日の姿など、映画の外側にある事実にも、感慨無量になってしまった。
【60点】
(原題「THE HUNGER GAMES: MOCKINGJAY PART2」)
(アメリカ/フランシス・ローレンス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、他)
・ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション@ぴあ映画生活