2016年2月26日金曜日

ネコのお葬式

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




ミュージシャンを目指すドンフンと、漫画家を夢見るジェヒは、共に暮らしていた恋人同士だったが、些細なことが原因で心がすれ違い別れてしまった。同居していた時、拾って家族に迎えた子猫クルムは、ドンフンが引き取って育てていたが、そのクルムが他界する。クルムのお葬式をするため、2人は1年ぶりに再会するが…。

韓国で人気のデジタルコミックを映画化した「ネコのお葬式」は、人気アイドルグループ、SUPER JUNIORのカンインが7年ぶりに映画出演したラブストーリーだ。同居していた時に飼っていた猫のお葬式をするために再会した元恋人同士には、その1日は、止まっていた時間が再び動き出す特別な1日。愛猫がくれた思いがけないプレゼントだ。一緒に過ごした切なくて愛しい日々を、ゆっくりと追体験していく。猫は確かに可愛いが、猫の登場時間は少ないので、猫好きが猫目当てで鑑賞するには少し物足りないだろう。ストーリーもどこか散文的で、2人の心情を深く掘り下げるにはいたっていない。加えて言えば、ドンフンはミュージシャンを、ジェヒは漫画家を目指す、いわばアーティスト志望のカップルなのに、アートへの思いがほとんど表層的なのは物足りなさを感じてしまった。それでも、結婚を意識しはじめたカップルのときめきととまどい、愛だけでは解決しない2人の間の心の溝は、とてもリアル。カンインが歌うロマンチックなバラードが心にしみる。クルムという名前は雲という意味だそう。空気中の水分が空に浮かぶ雲は、自然の流れで移り変わっていく。気持ちに区切りをつけて前を向くため、クルムとのお別れが必要だったのだ。
【50点】
(韓国/イ・ジョンフン監督/カンイン、パク・セヨン、チョン・ギョウン、他)
(切なさ度:★★★★☆)
チケットぴあ

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