source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
2044年、砂漠化した地球では、人工知能搭載ロボットのオートマタが、人間に代わる労働力として必要不可欠な存在となっていた。オートマタには、「1.生命体に危害を加えてはいけない」「2.ロボット自身で、修理・修繕をしてはけない」という2つのルールが組み込まれていたが、オートマタ管理者ジャックは彼らが自発的に修理を行っていたことを知る。その首謀者と目的を探るジャックは、思わぬ事実に突き当たる…。
近未来のロボット社会の危機を描いたSF作品「オートマタ」。設定や映像からすぐにわかるように本作は傑作SF「ブレードランナー」にオマージュをささげた作品で、随所に意識的に類似点が見られる。人工知能A.I.が意志を持つ、人間を上回る進歩を遂げようとするという設定は、アシモフの小説以来、何度となく映画で登場してきたモチーフだ。本作に登場するロボットは「ブレードランナー」のように人間そっくりのものではなく、機械らしいビジュアルなので感情移入は難しいが、独特の風情があるし、見ているうちにどこか切ない表情にも見えてくる。アクション場面などは少なく、物語は終盤まで、地味に静かに進行するので、少々退屈に感じるかもしれない、ただ、本作の監督ガベ・イバニェスはCGアニメーター出身で、ヨーロッパ屈指のビジュアル派。スタイリッシュな映像は見応えがある。地球を砂漠化から守るため、巨大防御壁の建設や人工雨を降らせるための機械式の雲を作る作業のような労働力だったロボットたちが、人間の知能を上回り、世界をコントロールするために出した答えは、いろいろな意味で興味深い。現実世界では、A.I.がチェスや囲碁の名人を破り、ついには小説まで書いてしまうという領域に達している。もはやこの映画で描かれる事態は、絵空事ではないのかもしれない。
近未来のロボット社会の危機を描いたSF作品「オートマタ」。設定や映像からすぐにわかるように本作は傑作SF「ブレードランナー」にオマージュをささげた作品で、随所に意識的に類似点が見られる。人工知能A.I.が意志を持つ、人間を上回る進歩を遂げようとするという設定は、アシモフの小説以来、何度となく映画で登場してきたモチーフだ。本作に登場するロボットは「ブレードランナー」のように人間そっくりのものではなく、機械らしいビジュアルなので感情移入は難しいが、独特の風情があるし、見ているうちにどこか切ない表情にも見えてくる。アクション場面などは少なく、物語は終盤まで、地味に静かに進行するので、少々退屈に感じるかもしれない、ただ、本作の監督ガベ・イバニェスはCGアニメーター出身で、ヨーロッパ屈指のビジュアル派。スタイリッシュな映像は見応えがある。地球を砂漠化から守るため、巨大防御壁の建設や人工雨を降らせるための機械式の雲を作る作業のような労働力だったロボットたちが、人間の知能を上回り、世界をコントロールするために出した答えは、いろいろな意味で興味深い。現実世界では、A.I.がチェスや囲碁の名人を破り、ついには小説まで書いてしまうという領域に達している。もはやこの映画で描かれる事態は、絵空事ではないのかもしれない。
【55点】
(原題「AUTOMATA」)
(ブルガリア、アメリカ、スペイン、カナダ/ガベ・イバニェス監督/アントニオ・バンデラス、ビアギッテ・ヨート・ソレンセン、メラニー・グリフィス、他)