2016年3月3日木曜日

女が眠る時

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


女が眠る時
スランプ中の作家の健二は妻で編集者の綾と共に、リゾートホテルで1週間の休暇を取ることに。そこで偶然出会った初老の男・佐原と若く美しい女性・美樹のカップルに目を奪われる。彼らの部屋を覗き見た健二は、毎晩彼女の産毛をカミソリで丁寧に剃り、眠る姿を撮影し続ける佐原の姿を見てしまう。「あの子の最後の日を記録しようと思って」という佐原の言葉に恐怖を覚えながら、好奇心を掻き立てられた健二の行動は、次第に常軌を逸していく…。

スペイン人作家ハビエル・マリアスの短編小説をベースにしたミステリアスな人間ドラマ「女が眠る時」。「スモーク」や「ジョイ・ラック・クラブ」で知られる香港出身のウェイン・ワン監督が初めて手掛ける日本映画だ。スランプ中の作家という設定だけで、物語に妄想が入り込むのは予想できるが、夢か、幻か、それとも自分自身が狂ってしまったのか?!と自問する主人公のとまどいと焦燥がただならぬムードを醸し出している。ビートたけし扮する初老の男の行動も異様だが、彼に近づき、部屋を覗き見るだけでは飽き足らず、黙って部屋に侵入までしてしまう健二の行動も尋常ではない。作家ゆえの創作意欲なのか、それとも男女のゆがんだ愛の形に魅せられたのか。ある事件が起こってからは物語は急展開するが、結末の解釈は観客に委ねられている。ひとりよがり? そうかもしれないが、わかりやすい映画ばかりが横行する昨今、こういうモヤモヤ感(?)満載の映画で頭をひねってみるのも一興だろう。それにしても忽那汐里がファム・ファタールって…。健康的すぎて、どうみてもミス・キャストだ。
【60点】
(原題「女が眠る時」)
(日本/ウェイン・ワン監督/ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、他)
(妄想度:★★★★☆)
チケットぴあ

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