source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
Scusate Se Esisto [Blu-ray]
一流の建築家として世界中で仕事をしてきたセレーナは、人生の新たなステップを踏み出そうと、母国イタリアに戻ってくる。だがイタリアの建築業界は男性社会で、彼女の才能を活かせる場所がない。希望の仕事に就けないまま貯金も底を尽いたある時、公営住宅のリフォーム案が公募されることを知ったセレーナは、男性と偽って応募してしまう…。
ローマ郊外に実在する公営住宅で採用された女性建築家のリフォーム・プランにヒントをえて作られた心温まるコメディ「これが私の人生設計」。働く女のツラさを描く作品は多いが、jこの映画の主人公セレーナがブチ当たるのは、イタリアの建築業界特有の男性社会の厚い壁だ。本作の好感度が高いのは、ヒロインのセレーナは超有能で仕事ができる女なのに、とても親しみやすいからだろう。いつも一生懸命で前向きな彼女は、どこか抜けているところがあったり、田舎出身だけあって根が純朴なのだ。彼女が恋する超絶セクシーな男性フランチェスコは、実はゲイ。セレーナはあっけなく失恋するのだが、その代わりに彼とは大の親友になる。ただ、フランチェスコがゲイだと知りながらやっぱり好きという気持ちがあるのに、職場で唯一彼女の才能と嘘に気付いている、さえない“もやし男”と恋愛モードになる展開は、ちょっといただけなかった。物語は、セレーナが自分らしく生きることで周囲をもポジティブに変えていき、大団円に。それにしても本業は歌手だというパオラ・コルテッレージのダサかわいいルックスが最高だ。この映画は、ちょっと誇張した演出や設定はあれど、男社会で窮屈に働く女性や、同性愛というだけで差別されるマイノリティーへの応援ムービーなのである。ところで、この映画のヒントになったのは、女性建築デザイナーのグエンダリーナ・サリメイによる、ローマ郊外の巨大公営住宅コルヴィアーレで採用されたリフォーム・プラン“緑の空間”。出来上がったところをぜひ見てみたいが、資金不足のため今も再建設は未着手とか。現実の建築業界は、やれやれ、である。
ローマ郊外に実在する公営住宅で採用された女性建築家のリフォーム・プランにヒントをえて作られた心温まるコメディ「これが私の人生設計」。働く女のツラさを描く作品は多いが、jこの映画の主人公セレーナがブチ当たるのは、イタリアの建築業界特有の男性社会の厚い壁だ。本作の好感度が高いのは、ヒロインのセレーナは超有能で仕事ができる女なのに、とても親しみやすいからだろう。いつも一生懸命で前向きな彼女は、どこか抜けているところがあったり、田舎出身だけあって根が純朴なのだ。彼女が恋する超絶セクシーな男性フランチェスコは、実はゲイ。セレーナはあっけなく失恋するのだが、その代わりに彼とは大の親友になる。ただ、フランチェスコがゲイだと知りながらやっぱり好きという気持ちがあるのに、職場で唯一彼女の才能と嘘に気付いている、さえない“もやし男”と恋愛モードになる展開は、ちょっといただけなかった。物語は、セレーナが自分らしく生きることで周囲をもポジティブに変えていき、大団円に。それにしても本業は歌手だというパオラ・コルテッレージのダサかわいいルックスが最高だ。この映画は、ちょっと誇張した演出や設定はあれど、男社会で窮屈に働く女性や、同性愛というだけで差別されるマイノリティーへの応援ムービーなのである。ところで、この映画のヒントになったのは、女性建築デザイナーのグエンダリーナ・サリメイによる、ローマ郊外の巨大公営住宅コルヴィアーレで採用されたリフォーム・プラン“緑の空間”。出来上がったところをぜひ見てみたいが、資金不足のため今も再建設は未着手とか。現実の建築業界は、やれやれ、である。
【60点】
(原題「Scusate se esisto!」)
(イタリア/リッカルド・ミラーニ監督/パオラ・コルテッレージ、ラウル・ボヴァ、マルコ・ボッチ、他)