source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
ニューヨーク、マンハッタン。39年間連れ添った画家のベンと音楽教師のジョージは、ようやく結婚する。親せきや友人たちに祝福された2人だったが、ジョージは同性婚を理由に勤務先の学校を解雇されてしまう。収入が減り、住まいを売ったジョージとベンは、一緒に住める安い部屋がみつかるまで、それぞれ友人や親せきの家に居候を始めるが…。
2011年に同性婚が合法となったニューヨークで、ようやく結ばれた男性カップルが、入籍後のさまざまなトラブルから、人生を見つめなおし、本当に大切なものに気付いていくヒューマンドラマ「人生は小説よりも奇なり」。監督のアイラ・サックス自身、ゲイであることを公表し、自ら脚本も手掛けているためか、ディテールの多くがとてもリアルだ。特に年金生活者のベンが居候する親戚宅での小さな摩擦のエピソードは上手い。ベンとジョージは、互いを思いやり、ただ愛する人と一緒にいたいだけなのに、それが上手くいかないのがなんとも哀しい。ベンが居候することになった甥夫婦は映画監督と小説家のカップルだがこの2人の間にもすきま風が吹いている。世間の偏見、年金生活、老いや死。本作は同性愛のカップルを主人公にしているが、描かれているのは、誰もが直面する問題で、普遍的な愛情そのものなのだ。ラストにひとつの別れが訪れるが、それはそっけないほど唐突にやってくる。ベタつかない悲しみと、それを受け入れて日常は続いていくのである。ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナの演技巧者2人が、ユーモアとペーソスで老カップルを演じていて、好感度が高い。全編に効果的に使われるショパンの美しい調べが、心にしみた。
2011年に同性婚が合法となったニューヨークで、ようやく結ばれた男性カップルが、入籍後のさまざまなトラブルから、人生を見つめなおし、本当に大切なものに気付いていくヒューマンドラマ「人生は小説よりも奇なり」。監督のアイラ・サックス自身、ゲイであることを公表し、自ら脚本も手掛けているためか、ディテールの多くがとてもリアルだ。特に年金生活者のベンが居候する親戚宅での小さな摩擦のエピソードは上手い。ベンとジョージは、互いを思いやり、ただ愛する人と一緒にいたいだけなのに、それが上手くいかないのがなんとも哀しい。ベンが居候することになった甥夫婦は映画監督と小説家のカップルだがこの2人の間にもすきま風が吹いている。世間の偏見、年金生活、老いや死。本作は同性愛のカップルを主人公にしているが、描かれているのは、誰もが直面する問題で、普遍的な愛情そのものなのだ。ラストにひとつの別れが訪れるが、それはそっけないほど唐突にやってくる。ベタつかない悲しみと、それを受け入れて日常は続いていくのである。ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナの演技巧者2人が、ユーモアとペーソスで老カップルを演じていて、好感度が高い。全編に効果的に使われるショパンの美しい調べが、心にしみた。
【60点】
(原題「LOVE IS STRANGE」)
(アメリカ/アイラ・サックス監督/ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナ、 マリサ・トメイ、他)