2016年4月27日水曜日

あまくない砂糖の話

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


That Sugar Film [Blu-ray] [Import]
オーストラリア人俳優デイモン・ガモーは、健康志向の恋人の影響でヘルシーな食生活をおくっていた。しかし彼は「人間は1日平均スプーン40杯分の砂糖を摂取している」と知り、愕然とする。初めての子どもの誕生を控えて、より安全な食について真剣に考え、砂糖について疑問に思った彼は、医療チームの監視のもと、60日間、砂糖を積極的に摂り、自らの体の変化を見極める実験を行う。実験が進むにしたがって、デイモンは身体だけでなく心にも変化をきたしていくが…。

食生活、とりわけ砂糖にフォーカスし、監督と脚本を手掛けるデイモン・ガモー自らが実験台となって砂糖摂取による影響を検証するドキュメンタリー「あまくない砂糖の話」。監督が身を挺して食品の害を訴える作品には、過去、ハンバーガーを取り扱った「スーパーサイズ・ミー」があるが、基本的な流れは本作も同じだ。だが砂糖という、より間口が広い素材を取り扱うことで、検証の内容は実に興味深いものになっている。しかも摂取するのはファストフードやジャンクフードではなく、普段から食べているごく普通の食べ物だ。しかしその結果は…。ドキュメンタリーというとお固いイメージだが、本作はスピーディでユーモアにあふれ、演出も凝っていて、わかりやすくまとめてあり、まったく飽きさせない。ヘルシーな食品と言われる、低脂肪ヨーグルトやスムージー、シリアルにも大量の砂糖が含まれている事実に驚くが、その害を認めようとせず、科学者を買収してまで砂糖の無害を強調する企業の姿勢には、さらに驚愕する。もっとも利潤のためならどんなこともねつ造し責任逃れするのは、どの業界でも共通のことではあるが。監督自らが数値で示した体重増加や内臓への悪影響もさることながら、砂糖摂取によって、その精神面への影響と中毒性を際立たせた手腕を評価したい。ノリの良いエンタメ作品として楽しめるが、生きる基本である食を、改めて見直すきっかけになる、なかなか深いテーマの作品だ。
【65点】
(原題「THAT SUGAR FILM」)
(オーストラリア/デイモン・ガモー監督/デイモン・ガモー、スティーヴン・フライ、ブレントン・スウェイツ、他)
(エンタメ度:★★★★☆)
チケットぴあ

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