2016年4月5日火曜日

のぞきめ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


のぞきめ (角川ホラー文庫)
テレビ局でアシスタントディレクターとして働く彩乃は、腹がよじれ口から泥を吐くという異様な死に方をした青年の怪死事件を取材する。青年の恋人は「“のぞきめ”の仕業だ」と、狂ったように言うのだった。青年とその恋人は、大学のサークルの山奥での合宿に行って以来、常に何かに覗かれているように感じていたという。関係者が“のぞきめ”による新たな悲劇に見舞われるなか、彩乃の身にも危険が迫ってくる…。

過去と現在を行き来しながら、隙間からのぞく怪異の謎を描くホラー「のぞきめ」。原作は、推理小説家・三津田信三の同名小説だ。わずかな隙間や空間から、常にこちらをみつめる目の存在を感じるという感覚は、なるほどジワジワと怖い。怪死の原因は、ヒロインがある村の忌まわしい過去を調べるうちにその理由がわかってくる。前半の、のぞかれているという得体のしれない怖さから、後半は、その原因にまつわる謎解きとなるが、これがどこか人情話の趣になって、失速するのが惜しい。ラストは予想できるものだが、この作品、全体的にディテールに甘さがある。物語の詳細と謎解きは明かさないが、なぜあの子は、どこにも母性の要素がないヒロインを母と慕うのだろう? その設定ならば、主人公の年齢を引き上げるべきなのでは…など、いろいろと不満はあるが、本作で初主演を果たした元AKB48の板野友美ありきの作品(アップのカットがやたらと多い!)だから、やむを得ないか。彼女の演技の質はあえて問わず、今後に期待ということにしておく。監督は「トリハダ」の三木康一郎監督。のぞくという行為に置き換えられた、日常にひそむ恐怖の感覚は、相通じるものがあるが、幽霊や超常現象などではなく、あくまでも人間心理の恐怖にこだわった「トリハダ」の怖さが勝った。
【50点】
(原題「のぞきめ」)
(日本/三木康一郎監督/板野友美、白石隼也、入来茉里、他)
(絶叫度:★★☆☆☆)
チケットぴあ

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