source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
シャイニング [Blu-ray](amazon)
時計じかけのオレンジ [Blu-ray]
原作者は大激怒。
小説家にとって、自身の作品がハリウッド映画化はうれしいこと。知名度が飛躍的に上がり、新たなファンも生まれ、当然お金にもなるはずです。しかし、原作と全く異なる内容にされてしまったら?
今回はCheetSheetがピックアップした、興行的には大成功したにもかかわらず、原作者が不満を抱いている映画をご紹介します。
〈以下略〉
(全文はリンク先へ:GIZMODO/2016年5月7日)
例によって例のごとく『シャイニング』がピックアップされていますね。まあこれは有名すぎるくらい有名な話です。しかしキングもいい加減しつこいですね。自身が制作を担当したTV版『シャイニング』の制作時、当時キューブリックが持っていた『シャイニング』の映像化権を得る代わりに「今後一切キューブリック版『シャイニング』についてあれこれ言わない」という条件があったはずなのに、キューブリックの死後は言いたい放題。全くもって器の小さい男です。
『時計…』に関しては、バージェズの発言と態度を時系列に整理して検証した記事がこちらとこちらとこちらにあります。結論から言えば「バージェスは本心では当初のラストシーンのまま映画化したキューブリックを好意的に思っていたが、暴力賛美として各方面から脅迫されるに至り、改変したラストシーンを持ち出してキューブリック批判を突如展開、脅迫の矛先をキューブリックに向けようとした」というのが管理人の私見です。
これは主演のマルコムも同じだと思います。脅迫で命の危険を感じたマルコムも突如『時計…』とキューブリックへの批判を始めました。現在はその危険もないので素直に話していますけどね。
映画の宣伝部隊として世界中のマスコミ対応にキューブリックが送り出した二人は、脅迫の矢面に立たされ、それに屈したわけですが、キューブリックも結局はイギリスでの映画の上映を打ち切るしかありませんでした(それでも2年近くのロングランですが)。キューブリックが存命中にイギリスでの再上映やビデオ化を禁止したのは自身や家族の身の安全を考えての事です。特に長女のカタリーナは『時計…』にエキストラとして出演していますので、この事実が世間に知られれば彼女の命にかかわります。そのカタリーナも当時がいかに「狂っていた」かは、インタビューで度々言及しています。
バージェスはキューブリックから『ナポレオン』の脚本を依頼されるほど信頼されていたのに裏切ってしまい、それ以降は没交渉を貫かれました。マルコムも同じで「あれ(キューブリック批判)は電話してくれというメッセージだった」などと今更ながらにインタビューで語っています。『アイズ…』の脚本家フレデリック・ラファエルは「キューブリックは根に持つタイプ」と評しています。ジャック・ニコルソンやリー・アーメイなど、作品完成後もキューブリックと良好な関係を続けた役者は、キューブリックを裏切らなかった人たちばかりです。その事実がキューブリックの「本音」を示していると思っています。