source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
恋愛経験ゼロなのに、周囲に合わせるため、彼氏がいると嘘をついてしまった篠原エリカ。友人から疑われたため、街で見かけたイケメンの男子を盗撮し、友人に彼氏だと言ってその写真を見せるが、それは学校一のイケメン同級生・佐田恭也だった。エリカは恭也にワケを話し、彼氏のフリをしてもらうように頼むが、恭也は優しそうな外見とは裏腹のドSな性格。エリカに自分の言うことを何でもきく犬になるように命令する。やむを得ず承知したエリカは、恭也に振り回される日々を送るが、恭也が時折見せるやさしさにときめくようになる…。
八田鮎子による人気コミックを実写映画化した学園ラブストーリー「オオカミ少女と黒王子」。「黒崎くんの言いなりになんかならない」といい、本作といい、昨今はドSのイケメン男子が人気なのか? それはさておき、物語はすべてが予想通りに進んでいき、驚きは皆無。それにしても主人公・エリカのダメっぷりはひどい。ミエで嘘をつく、ひとりぼっちがイヤというだけで友達がいのないグループに所属する、しっかりものの親友から大事なアドバイスを受けても聞こうとしない。こんなに共感できないヒロインは珍しく、何なんだ、このコ?と腹が立ってくるのだが、そんな思春期のダメな女の子を、若手演技派筆頭の二階堂ふみが演じているところが最大の驚きだ。しかも上手い。個性的でブチ切れた役柄ばかり演じているが、フツーの女の子を演じることもできるのだ!と改めて感心してしまった。コメディエンヌの素質も感じるし、新しい二階堂ふみを見るという意味で意義ある作品。胸キュン率は意外と低い気がするが、原作ファンの反応が知りたいところだ。
【40点】
(原題「オオカミ少女と黒王子」)
(日本/廣木隆一監督/二階堂ふみ、山崎賢人、鈴木伸之、他)