2016年6月1日水曜日

【関連記事】スタンリー・キューブリック監督、独自の『ピノキオ』映画化を計画していた

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック



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 『時計じかけのオレンジ』、『2001年宇宙の旅』、『アイズ・ワイド・シャット』などで有名な故スタンリー・キューブリック監督が、生前『ピノキオ』を映画化しようとしていたことが明らかになった。

〈中略〉

 キューブリック監督は生前『ピノキオ』の話をベースにしたロボットが主人公の『A.I.』を企画しており、死後スティーヴン・スピルバーグ監督によって映画化されたが、エミリオさんが言う『ピノキオ』の映画は、『A.I.』とは全く違うプロジェクトであったらしい。『A.I.』はどちらかと言えば大人向けであったが、家族をとても大切にしていたというキューブリック監督は、「孫が喜んでくれる映画」ような子ども向けの『ピノキオ』を撮りたかったようだ。

(全文はリンク先へ:Cinema Cafe.net/2016年5月31日




 キューブリックの運転手兼アシスタント、エミリオ・ダレッサンドロの証言ですが、元記事を読むとどうも『A.I.』と無関係とも言えないようです。『ピノキオ』を孫と一緒に楽しめる映画として撮りたいとの構想を漏らしていたのは『アイズ…』製作中の頃のようですが、この時次回作として予定されていた『A.I.』は、1974年のプロジェクト発足以来難航に難航を重ね、度重なる延期に見舞われていました。そんな混沌とした状況にキューブリックはスピルバーグに「この作品の監督は君の方が向いている、私はプロデュースに専念する」と語っていたほどです。

 そんな難産な『A.I.』の企画を一旦白紙に戻し、単純に子供向けファンタジーとして仕切り直して制作しようとキューブリックが考えたとしても何の不思議でもありません。また自身の加齢による衰えもこの判断に影響を与えているかもしれません。一作品に精も魂も尽きるほど注ぎ込むキューブリックが、『A.I.』を『2001年…』以来の本格SF大作として制作、完成させる確信が持てなくなり、それが「孫と一緒に楽しめる『ピノキオ』を作る」という発想に至ったのかもしれません。

 ところで元記事には「モンテ・カッシーノの戦い」についてもキューブリックが関心を持っていたとの記述がありますが、こちらの方が個人的には興味深いです。というのもこの戦闘で大活躍したのがアメリカ陸軍442連隊、すなわち「日系人部隊」だったのですから。キューブリックは第二次世界大戦の映画化に興味を持っていましたが、よく知られた『アーリアン・ペーパーズ』以外にこの『モンテ・カッシーノ』があった。とうのは特筆すべき情報だと思います。