2016年10月1日土曜日

【愛機たち】ツァイス社製プラナー 50mm f/0.7

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック


Kubrick_lens_Zeiss
※現在世界を巡回中の『スタンリー・キューブリック展』でも展示されている。

 NASAの人工衛星搭載用にツァイス社が開発したレンズ10本の内3本をキューブリックが入手、『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンで使用した。ただ、そのままBNCミッチェルカメラに装着するのは不可能だったので、レンズマウントを自作、シャッターの羽根を一つ外したり、アパーチャプレートも外すなどの改造を施した。またキューブリックはインタビューで

 あれ(F0.7レンズ)はNASAの開発したレンズだが、私のミッチェルにしか付けられない。あのレンズを付けるためにはカメラを改造し、幾つか部品を取り外さなければならなかった。なにしろレンズとフィルムの膜面との距離は2、3ミリしかなく、シャッターの羽根がやっと入ったのだから。いろいろと制約の多いレンズだった。ピントを送るのも大変だった。私のカメラマンは、閉回路テレビを使ってピント合わせをした。撮影カメラが狙っている俳優の真横にテレビカメラがあって、その映像がカメラマンの手元にあるモニターに映し出される。彼はモニターのブラウン管に縦の平行線を何本かグリースペイントでかきこんだ。俳優が何インチ動いたか、その線から読み取ろうというわけだ。こうして緻密なピント送りであの映像が写された。

イメージフォーラム1988年6月号/スタンリー・キューブリック・ロングインタビューより)


と、ビデオカメラとセットで運用した事を明かしている。

▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
Amaging Graph/世界最高のレンズはどれだ!?8本の途方もないレンズたち!