source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
2001 A Space Odyssey bedroom film set recreated at 14th Factory art space
Serendipity had a big part to play in the replica of the bedroom scene from Kubrick’s 2001 A Space Odyssey which is currently on display at the multi-media art space The 14th Factory in downtown Los Angeles.
(全文はリンク先へ:Film and Furniture/2017年3月)
ロサンゼルスにあるアートスペース「第14工場」で、『2001年宇宙の旅』で登場した白い部屋を再現した展示されているそうです。ディテールはちょっと甘いですが、なかなかの再現度ではないでしょうか。
『2001年…』に登場した「白い部屋」、撮影現場では「ホテルルーム」と呼ばれていましたが、それはこの部屋が「異星人が人類のテレビ番組をモニターしていて、そこに登場したホテルの部屋をコピーしたもの」だからです。クラークの小説版では、ボーマンはこの部屋の正体を突き止めようと部屋を歩き回り、水道水や冷蔵庫の中身まで調査。その後シャワーを浴び、ベッドでTV番組を見ていると、この部屋がそのTV映画のワンシーンにそっくりそのまま登場するのを発見し、ボーマンはこの部屋のカラクリを知ることになるのですが、キューブリックはそういった説明的な描写は避け、老いてゆく自分自身をその都度発見するという抽象的な表現になっています。
キューブリックが小説版のような描写を嫌ったのは、神話的な映画のラストシーンで生活感を出したくなかったからだと思いますが、一応はこんなシーンの撮影も検討しています。実はこの「白い部屋」のシーン、台本では「ボーマンが部屋をうろついてやがてモノリスを発見する」としか決まっていなかったそうで、様々なアイデアを現場で試しているうちにあの形になったそう。キューブリックは観客に対して「わかりやすさ」より「視覚的美しさ」を優先させる監督なので、映画で描かれる事象についていくのは大変です。それに加えて「これだけ示唆や暗喩をしておけば伝わるだろう」という判断のハードルも高いので、ちょっと気を抜くと置いてけぼりを食らってしまいます。こういった点が「キューブリック作品は難解」と言われてしまう所以なのですが、当人は「全部説明してしまったら面白くない」と事あるたびにインタビューで語っています。
因みにモデルになったホテルはロンドンにある高級ホテル、ザ・ドーチェスターです。