source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
1895年12月28日、フランス・パリ。ルイとオーギュストのリュミエール兄弟が発明したシネマトグラフで撮影された映画「工場の出口」などの短編が、世界で初めて有料上映された。映画に施された演出や移動撮影、特殊効果などのテクニックは、人々を魅了し、その後に作られる映画に多大な影響を及ぼすことになる。
映画の父リュミエール兄弟にオマージュを捧げたコラージュ作品である「リュミエール!」。兄弟が残した1422本の作品の中から厳選した108本を4Kデジタル修復して上映した本作は、映画の始まりや初期の歩みといった映画史であると共に、19世紀末から20世紀初頭の人々の暮らしや文化を捉えた貴重な記録でもある。映画史といっても決して堅苦しいものではなく、十分に娯楽性があり、見ていて飽きることがない。さらに、滅多に目にする機会がない貴重な映像に触れる喜びもある。世界中を旅して記録した映像には、1897年に日本で作られた「京都 日本の剣士」も登場。市井の人々の生き生きとした日常をユーモアたっぷりに写した映像の数々は、現代のYouTubeにも通じるワクワク感を感じてしまった。
リュミエール研究所ディレクターのティエリー・フレモーの、時に情熱的すぎるナレーションの解説も、楽しめる。「工場の出口」を別バージョンで撮影したものをリメイクの始まりととらえていること、「水をかけられた庭師」のギャグは明らかに演出(やらせ)でカメラ目線、「赤ん坊の初歩行」のサスペンスにハラハラ、ドキドキ(もちろん予想通り、転んでしまう!)。第七芸術である映画の原点は、シンプルで楽しいエンタテインメントだったことがよくわかる。映画の父・リミュエールの「映画は、皆を、世界を楽しませる。これ以上の誇りはない」の言葉に、映画界の片隅にいる私まで、思わず胸が熱くなった。19世紀末の驚きの発明は、間違いなく、映画を愛する思いの出発点なのである。
映画の父リュミエール兄弟にオマージュを捧げたコラージュ作品である「リュミエール!」。兄弟が残した1422本の作品の中から厳選した108本を4Kデジタル修復して上映した本作は、映画の始まりや初期の歩みといった映画史であると共に、19世紀末から20世紀初頭の人々の暮らしや文化を捉えた貴重な記録でもある。映画史といっても決して堅苦しいものではなく、十分に娯楽性があり、見ていて飽きることがない。さらに、滅多に目にする機会がない貴重な映像に触れる喜びもある。世界中を旅して記録した映像には、1897年に日本で作られた「京都 日本の剣士」も登場。市井の人々の生き生きとした日常をユーモアたっぷりに写した映像の数々は、現代のYouTubeにも通じるワクワク感を感じてしまった。
リュミエール研究所ディレクターのティエリー・フレモーの、時に情熱的すぎるナレーションの解説も、楽しめる。「工場の出口」を別バージョンで撮影したものをリメイクの始まりととらえていること、「水をかけられた庭師」のギャグは明らかに演出(やらせ)でカメラ目線、「赤ん坊の初歩行」のサスペンスにハラハラ、ドキドキ(もちろん予想通り、転んでしまう!)。第七芸術である映画の原点は、シンプルで楽しいエンタテインメントだったことがよくわかる。映画の父・リミュエールの「映画は、皆を、世界を楽しませる。これ以上の誇りはない」の言葉に、映画界の片隅にいる私まで、思わず胸が熱くなった。19世紀末の驚きの発明は、間違いなく、映画を愛する思いの出発点なのである。
【75点】
(原題「LUMIERE!」)
(フランス/監督・脚本・編集・ナレーション:ティエリー・フレモー)