source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
キューブリックの逝去から20周年を経て、『スタンリー・キューブリック展』がついにロンドンに上陸しました。
『スタンリー・キューブリック展』がついにロンドンに上陸しました。アメリカの有名な映画監督の生涯と作品を記念するこの展覧会は、1960年代初頭にキューブリックが移住したイギリスを訪れることなく、ドイツからメキシコ、カナダ、スペイン、ブラジル、デンマーク、ポーランド、そして韓国まで、世界を巡回していました。キューブリックは1999年に亡くなっています。
キューブリックの義長女カタリーナ・キューブリックは、その展覧会の創設以来ほとんどの展示を見てきましたが、観るたびに新しい発見があり、それをロンドンのデザインミュージアムが提供したと語りました。「彼らは素晴らしい『時計じかけのオレンジ』の車を発見しました。キャットレディーの家にあった彫刻もこれまでになかったものです。私はなぜ217号室が237号室になったかを説明する手紙を見つけました。このように、いつも新しい発見があります」とカタリーナは説明しました。「そして、それらをデザインミュージアムがレイアウトした方法は、スタンリーの人生を通り抜けるものです。それぞれの部屋はそれぞれ1つの映画作品に捧げられています。それは一種の連鎖です」
約700点のオブジェ、映画、そしてインタビューを展示したこの展示は、キューブリックの創造力に光を当てました。 『2001年の宇宙の旅』のHAL9000のモックアップから『バリー・リンドン』や『シャイニング』の衣装、そして『時計じかけのオレンジ』のミルクバーのマネキンまで。カタリーナは父の映画は独創性を作品に注ぎ込み、その魅力は「魔法」であるため、時間の経過に耐えてきたと考えています。
「数ヶ月で入れ替わる映画はたくさんありますが、これらは本物の芸術作品です。それはスタンリーが語った物語、物語の力、そしてその映画の一つ一つについての研究と、スタンリーがした仕事の量の証明であり、観客を裏切りることありません。観客はスタンリーの全てを提供され、そして全てに先立つ物はスクリーン上の映画です」と彼女は言いました。
『スタンリー・キューブリック展』は、2019年9月15日までデザインミュージアムにて開催中です。
(動画説明文/2019年4月27日)
キューブリックの義長女、カタリーナさんは3歳の頃にキューブリックと再婚したクリスティアーヌに連れられてキューブリックの義長女となりました。キューブリックはカタリーナさんを実の娘(次女アンヤ、三女ヴィヴィアン)と分け隔てなく厳しく(カタリーナさん曰く「ボーイフレンドにも口うるさく干渉してきた」)接したようです。そのカタリーナさんは『時計じかけのオレンジ』のレコードショップの客役や『バリー・リンドン』での村の娘役、『アイズ ワイド シャット』でトム・クルーズの患者の少年(カタリーナの長男アレックス)の母親役としてエキストラ出演しています(詳細はここで)。その後映画制作の裏方として関わるようになり、『シャイニング』ではロケーション・リサーチを担当。『アイズ…』ではクルーズのマンションの壁を飾っていた絵画を提供しています。
そのカタリーナさんが、地元ロンドンでの開催であるこの『スタンリー・キューブリック展』では、かなり突っ込んだ役割を果たした(それまではどちらかというとオープニング・ゲスト的な扱いだった)であろうことは、このインタビューからも十分察することができます。また、このインタビューでは触れられていませんが、『時計…』のコロバ・ミルクバーのヌードテーブルやウェイトレスの衣装デザインを当初担当していた、アレン・ジョーンズの没デザインが今回初めて展示されていることも、その「苦労」をしのぶくとができます。個人的な推察ですが、この展示はロンドンでキューブリック展が開催されることを知ったアレン・ジョーンズ側が自分の作品を展示するように強引にねじ込んできたのではないかと思っています。そうでないと、ここに来て突然の展示や、展示の扱いの大きさが説明できませんので。
その他、『シャイニング』のタイプライターの用紙ですが、おそらく各国語版が展示されているのだと思います。これもティンバーライン・ロッジの手紙と同じくロンドン芸術大学内のスタンリー・キューブリック・アーカイブに所蔵されていたもので、今回初展示になります。同様にダニーのジャンパー(迷路で着ていたもの)も同所に所蔵されているのですが、なぜか『スタンリー・キューブリック展』で展示されたことはありません。『時計…』で「デュランゴ95」として登場したスポーツカー「アダムスプローブ16」は、撮影に使用されたブルーグレーではなく現存する唯一のオレンジカラーのもの。展示はこのロンドンが最初で最後ではないかと思います。同じく『時計…』のペニス型彫刻「ザ・ロッキング・マシーン」やキリスト像「ザ・クライスト・アンリミテッド」はレプリカで、おそらくメディコム・トイが発売したものを展示しているのではないでしょうか。
このように、今まで世界を巡回してきた『スタンリー・キューブリック展』の中でも、展示の充実度はかなりのものであることが伺えます。ぜひに日本にも来て欲しいですね。