2015年10月18日日曜日

【台詞・言葉】アンクル・サム(Uncle Sam)

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック


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※アメリカ陸軍による兵員募集ポスター。この人物が「アンクル・サム」。

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※アンクル・サムをハートマン軍曹に変えたパロディ・ポスター。

 アンクル・サム(Uncle Sam)は、アメリカ合衆国を擬人化した架空の人物。アメリカ合衆国の象徴とされる。また、アメリカ人一般をさすこともある。United States(アメリカ合衆国)と頭文字が同じU・Sなためこう名付けられたとされる。日本語としてはサムおじさんとも呼ばれる。

(引用先:wikipedia:アンクル・サム


 ハートマン軍曹のミニタリー・ケイデンス(訓練歌)で「アンクル・サムが大好きな、俺が誰だか教えてよ(I love working for Uncle Sam Let me know just who I am)」と歌われていましたが、ニュアンスを考えて意訳するとアンクル・サム=U・S=アメリカなので「アメリカを愛してる俺様を、一体誰だか知ってるかい?」となり、続けて「1、2、3、4、アメリカの海兵隊! 1、2、3、4、俺の愛する海兵隊!(1,2,3,4, United States Marine Corps! 1,2,3,4, I love the Marine Corps!)」となるので、愛国心や海兵隊に対する忠誠心を示す歌だということがわかります。

 ただ「アンクル・サム」自体が「アメリカおじさん」的な扱いなので、決して盲目的に愛国心を煽っているようには感じられません。それはベトナム戦争当時の徴兵制度で、一部の高所得者層の子弟は大金を払って弁護士を雇い、徴兵を免れていたという現実があるからです。パリス・アイランドに集められた新兵たちは、それができなかった中間所得者層以下の若者たちでした(教育レベルの低い層である事はスノーボールの「本の車庫」という台詞によって端的に示されている)。彼らは「本当は戦場なんて行きたかねえよ。だいたい金持ち連中は兵役逃れて反戦運動とか気楽なことやってんじゃん。なんで俺たちだけこんな目にあわなきゃいけないんだ?」という意識を持っていました。もちろん教官であるハートマン軍曹もその事は十分知っているので、この歌に限らず罵詈雑言のいちいちが皮肉に満ちているのはそのためです。大学生(当時は高所得者しか行けなかった)の多くを銃殺したチャールズ・ホイットマンを賞賛したり、戦争を他人事のようにクリスマスを祝う銃後の連中への当て付けに「ハッピー・バースデー・ディア・ジーザス」と歌う軍曹が愛されているのは、こういった新兵たちの心理をよく理解していたからなのです。