2016年12月15日木曜日

【関連記事】トーマス・シェリングさん死去 ゲーム理論で紛争分析

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック




 トーマス・シェリングさん(米メリーランド大名誉教授、ノーベル経済学賞受賞者)が、同大学によると13日死去、95歳。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:朝日新聞デジタル/2016年12月14日




 トーマス・シェリングは『博士の異常な愛情』の原作小説、『赤い警報(破滅への二時間)』の記事を新聞に書き、それを読んだキューブリックが興味を持ち、小説の映画化権を獲得したという経緯があります。そのシェリングと小説を書いたピーター・ジョージに会いに、キューブリックはケンブリッジに出向いたそうです。

 ところが、1958年に小説が書かれた当時、ICBM(大陸間弾道弾)は偶発的核戦争の要因だとは考えられていませんでしたが、映画制作の1962年頃には大問題になっていました。ICBMで核戦争が始まってしまえば、それを止めるために政治家や軍人が右往左往する時間がないからです。3人はそのプロットの穴を埋めるべく議論をしたそうですが、結局はICBMの存在を無視するしかなかったようです。シリアス劇から喜劇に変更したのも無視した大きな理由かも知れません。喜劇なら「プロットの穴よりもその寓話性を重視した」と言えますので。

 「戦争を始めるのに苦労した」とは当のシェリングの言葉ですが、当時のキューブリックの「こだわり」が垣間見えるようで、ちょっと可笑しいですね。上記の動画の記事はここで読むことができます。

 故人のご冥福をお祈りいたします。