source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
出会った人間の記憶から消えてしまう不思議な少女との恋愛を描くファンタジー「忘れないと誓ったぼくがいた」。SFかと思ったら青春映画だった。
大学受験を控えた高校生タカシは、織部あずさという美少女と出会い恋に落ちる。デートを重ねる2人だったが、ある日あずさは「私と出会った人は必ずその記憶を数時間後に失ってしまう」と奇妙な告白をする。最初は、そんなバカげた話を信じようとしないタカシだったが、ふとしたときに、あずさのことを忘れていることに気付く。タカシは彼女と会った日の出来事やデートの約束などを細かくメモに残し、自分だけは絶対にあずさのことを忘れないと、奮闘するのだが…。
原作は人気作家・平山瑞穂の小説。ヒロインの美少女あずさは、出会った人は全員、自分の記憶を失ってしまうという悲しい運命を背負っている。なぜあずさが忘れられるのかの説明はないし、家族や友人などが彼女を忘れてしまっているのにあずさはどうやって生きているのかなどのディティールはかなり大雑把だ。ではこの映画のテーマは、というと、好きになった人のことを、いつも、いつまでも覚えていようとする少年との純愛ということになろうか。人々の記憶から消えるというどこかSFチックな設定だが、描かれるのはごく平凡な毎日。思えば人間というのは「忘れる」ことからは逃れられない生き物だ。どれほどときめいた恋もいつか日常の中に埋没していく。タカシとあずさは、そんな大人になる運命に必死に抗っているように見える。タカシの思いを受け止めたあずさが最後にとる行動は、何とも切ないものだ。人々の記憶から消えるというアイデアひとつで成り立っているような青春映画で、細部のツメは限りなく甘い。主演の2人の演技も固さが目立つ。それでも時間が経っても記憶の底に留まる感情は誰の胸にもあるだろう。見終わってタイトルの“忘れないと誓ったぼくがいた”の意味をかみしめた。
大学受験を控えた高校生タカシは、織部あずさという美少女と出会い恋に落ちる。デートを重ねる2人だったが、ある日あずさは「私と出会った人は必ずその記憶を数時間後に失ってしまう」と奇妙な告白をする。最初は、そんなバカげた話を信じようとしないタカシだったが、ふとしたときに、あずさのことを忘れていることに気付く。タカシは彼女と会った日の出来事やデートの約束などを細かくメモに残し、自分だけは絶対にあずさのことを忘れないと、奮闘するのだが…。
原作は人気作家・平山瑞穂の小説。ヒロインの美少女あずさは、出会った人は全員、自分の記憶を失ってしまうという悲しい運命を背負っている。なぜあずさが忘れられるのかの説明はないし、家族や友人などが彼女を忘れてしまっているのにあずさはどうやって生きているのかなどのディティールはかなり大雑把だ。ではこの映画のテーマは、というと、好きになった人のことを、いつも、いつまでも覚えていようとする少年との純愛ということになろうか。人々の記憶から消えるというどこかSFチックな設定だが、描かれるのはごく平凡な毎日。思えば人間というのは「忘れる」ことからは逃れられない生き物だ。どれほどときめいた恋もいつか日常の中に埋没していく。タカシとあずさは、そんな大人になる運命に必死に抗っているように見える。タカシの思いを受け止めたあずさが最後にとる行動は、何とも切ないものだ。人々の記憶から消えるというアイデアひとつで成り立っているような青春映画で、細部のツメは限りなく甘い。主演の2人の演技も固さが目立つ。それでも時間が経っても記憶の底に留まる感情は誰の胸にもあるだろう。見終わってタイトルの“忘れないと誓ったぼくがいた”の意味をかみしめた。
【50点】
(原題「忘れないと誓ったぼくがいた」)
(日本/堀江慶監督/村上虹郎、早見あかり、西川喜一、他)
・忘れないと誓ったぼくがいた@ぴあ映画生活