source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
バリーリンドン [Blu-ray](amazon)
キネマ旬報DDによる『博士…』(池袋文芸坐のみ)『時計…』『バリー…』『フルメタル…』『アイズ…』上映がもう間近に迫って来ました。そこで「こんな小ネタを知っていればキューブリック作品をより楽しく鑑賞できますよ」という記事を投下したいと思います。今回は『バリー・リンドン』編。尚、この記事はネタバレを含んでいて、過去に映画館や、BDやDVDで鑑賞済みの方に向けたものです。未見の方はまずは作品に集中し、この記事を読まないようにお願いいたします。
(1)前作『時計…』から引き続き出演している役者が多い。パトリック・マギー(アレキサンダー氏→シェバリエ)、スティーブン・バーコフ(アレックスを殴る警官→ルード卿)、フィリップ・ストーン(アレックスのパパ→グレアム執事)、アンソニー・シャープ(内務大臣→ハラム卿)。前々作『2001年…』からはレナード・ロシター(スミスロフ博士→クイン大尉)が出演している。
(2)キューブリック作品中、最も多く娘たちが登場している。長女カタリーナと三女ヴィヴィアンの出演シーンはこちらを参照に。
(3)上記以外にもクイン大尉のイギリス軍部隊が行進するシーンを見学している女性(風で帽子が飛ばないように手で押さえているシーン)の中にヴィヴィアン(ライアン・オニールの左)とカタリーナ(オニールの右後)がいる。オニールの左後の女性はもしかして次女のアンヤ?(未確認)
(4)ツァイス社がNASAの人工衛星用に開発したF値0.7という驚異的な明るさのレンズを使用し、賭場のロウソク光だけのシーンが撮影された。
(5)「自然光だけで撮影した」とよく評されるが、実はそうではなく、現場では自然光をシュミレートするために、トレーシングペーパーで光を和らげたりするなどして、人工照明も使用している。
(6)レディ・リンドンを演じたマリサ・ベレンソンの寡黙で繊細な演技が絶賛されたが、アメリカ人である彼女は完璧なイギリス英語を話すことができず、仕方なくキューブリックは台詞を極力削り、レディ・リンドンを黙らせるしかなかったため。
(7)ベルベットの仕立屋を演じたは『シャイニング』の「盛会じゃね!」の幽霊を演じたノーマン・ゲイ。
(8)バリーが若い上半身裸の愛人をはべらしている横で、軍服姿で寝ている男は撮影監督のジョン・オルコット。
(9)ハラム卿は「元大臣(閣僚)」とナレーションで紹介されるが、これはハラム卿を演じたアンソニー・シャープが『時計…』では内務大臣役だったため。
(10)「ルドヴィコ・コルディ」という名の絵を購入するシーンがあるが「ルドヴィコ」とは『時計…』のルドヴィコ療法の引用。
(11)最後、バリーと決闘するブリンドン卿を演じたはレオン・ヴィタリは、この後キューブリックのアシスタントになり『シャイニング』や『フルメタル…』では制作スタッフとして参加している。『アイズ…』の赤マントの中の人でもある。