source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
不思議なピンバッジによって未知の世界の扉を開いた少女の冒険を描くSFファンタジー「トゥモローランド」。一見、子供向けだが、実は大人にこそ見てほしい。
17歳のケイシーは、ある日、荷物の中に見慣れないピンバッジを見つける。それに触った途端、ケイシーは、たちまち未知なる世界へと入り込んでしまうが、すぐにバッテリー切れで見慣れた現実世界に戻ってしまう。なんとかもう一度夢の世界に戻ろうとするケイシーの前に、ピンバッジを彼女の荷物に紛れ込ませたと言う、謎の美少女アテナが現れ、迷い込んだ夢の世界“トゥモローランド”に戻りたければ、フランク・ウォーカーという男を訪ねるように助言する。アテナが人類の未来を託した人間こそが、ケイシーとフランクだった…。
本作は、ウォルト・ディズニーの生前の夢と、ディズニー社の倉庫に残っていた資料をもとに、作り上げた壮大な冒険譚。謎のピンバッジが、パラレルワールドへの扉を開くという設定は、なるほどワクワクさせられる。貧富の差も戦争もなく誰もが幸福に暮らせる世界は、空飛ぶ車や宇宙旅行など、子どもの頃に思い描いた未来都市そのもの。レトロ・モダンな雰囲気を醸し出すビジュアルは何だか微笑ましい。現実世界と虚構世界を行き来する間にも数々の冒険が仕込まれていて、飽きさせない。だが、現実には、理想郷はどこにもなく、人々は愚かな争いを繰り返し、未来は決してバラ色ではないことを、かつての天才発明少年、今では引きこもりの中年男であるフランクは知っているのだ。フランクの諦念とケイシーの希望の相乗効果で、冒険は成立している。本作は、決して分かりやすくはないし、パラレルワールドの誕生やその仕組みもはっきりしない。つまりこれは単純明快な子供向けSF映画ではなく、私たちはどこで道を誤ってしまったのか?これから先、どうすればいいのか?と自問できる大人にこそ必要な、夢物語なのだ。ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディら次世代スターの少女たちのポジティブな明るさと、ジョージ・クルーニー演じる中年ヒーローの頑張りが、未来をあきらめないディズニー映画の精神を物語っている。
17歳のケイシーは、ある日、荷物の中に見慣れないピンバッジを見つける。それに触った途端、ケイシーは、たちまち未知なる世界へと入り込んでしまうが、すぐにバッテリー切れで見慣れた現実世界に戻ってしまう。なんとかもう一度夢の世界に戻ろうとするケイシーの前に、ピンバッジを彼女の荷物に紛れ込ませたと言う、謎の美少女アテナが現れ、迷い込んだ夢の世界“トゥモローランド”に戻りたければ、フランク・ウォーカーという男を訪ねるように助言する。アテナが人類の未来を託した人間こそが、ケイシーとフランクだった…。
本作は、ウォルト・ディズニーの生前の夢と、ディズニー社の倉庫に残っていた資料をもとに、作り上げた壮大な冒険譚。謎のピンバッジが、パラレルワールドへの扉を開くという設定は、なるほどワクワクさせられる。貧富の差も戦争もなく誰もが幸福に暮らせる世界は、空飛ぶ車や宇宙旅行など、子どもの頃に思い描いた未来都市そのもの。レトロ・モダンな雰囲気を醸し出すビジュアルは何だか微笑ましい。現実世界と虚構世界を行き来する間にも数々の冒険が仕込まれていて、飽きさせない。だが、現実には、理想郷はどこにもなく、人々は愚かな争いを繰り返し、未来は決してバラ色ではないことを、かつての天才発明少年、今では引きこもりの中年男であるフランクは知っているのだ。フランクの諦念とケイシーの希望の相乗効果で、冒険は成立している。本作は、決して分かりやすくはないし、パラレルワールドの誕生やその仕組みもはっきりしない。つまりこれは単純明快な子供向けSF映画ではなく、私たちはどこで道を誤ってしまったのか?これから先、どうすればいいのか?と自問できる大人にこそ必要な、夢物語なのだ。ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディら次世代スターの少女たちのポジティブな明るさと、ジョージ・クルーニー演じる中年ヒーローの頑張りが、未来をあきらめないディズニー映画の精神を物語っている。
【70点】
(原題「TOMORROWLAND」)
(アメリカ/ブラッド・バード監督/ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ヒュー・ローリー、他)
・トゥモローランド@ぴあ映画生活