source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
『恐怖…』で気に縛り付けられ、狂ったシドニーに迫られる少女を演じたヴァージニア・リースですが、その後女優として順調にキャリアを重ね、ついにこの『赤い崖』(1956)でヒロインの座を射止めます。なんとこの映画、当時としてはめずらしいフルカラーでシネスコープ。なのでよりリース嬢の美しさを堪能できます。でもこんな野太い声をしていたんですね。キューブリックが『恐怖…』でリースを喋らせなかったのは、この声のせいかも知れません。
この『赤い崖』ですが、資産家の娘の妊娠を知った恋人が自殺に見せかけて彼女を殺害、それに疑問を抱いた姉(ヴァージニア・リース)が調査を始める・・・というフィルム・ノワールもの。原作は『ローズマリーの赤ちゃん』で有名なアイラ・レヴィン作の『死の接吻』で、当時ベストセラーになりました。1991年にはマット・ディロンの主演で再映画化されるほと有名な作品で、もちろん両作品とも日本で上映されました(1956年版は未VHS・DVD化)。
にもかかわらず、リースは次作でB級カルトホラー『死なない脳』に出演。結局この『赤い崖』のヒロイン役がキャリアの中で一番メジャーな仕事となってしまいました。ちゃんと役を選んでいればもっと有名な女優になれたかもしれないのに、なんとももったいない話です。その後リースは映画でもテレビでも端役ばかり。結局中途半端なキャリアのまま女優を引退することになってしまいました。
ちなみにこのリースは1960年に俳優でコメディアンのドナルド・ハロンと結婚。1968年には離婚してしまいますが、そのハロンと前妻との間に産まれたのがメアリー・ハロン。そう、あの『アメリカン・サイコ』の監督です。つまりリースから見れば元義理の娘という事になります。ちょっとびっくりですね。
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※マット・ディロンによる再映画化版。
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