source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
スタンリー・キューブリック監督の代表作「時計じかけのオレンジ」の原作となった、英作家アンソニー・バージェスの同名小説の続編と思しき未完の原稿が、伊ブラッチャーノにあるバージェス氏の旧宅で発見された。
〈中略〉
「兵役を終えて故郷に戻った1945年のある日、ロンドンのパブでコックニー訛りの老人が、誰かのことを『時計じかけのオレンジみたいにヘンな奴』と言っているのを耳にした。それから20年近くずっと、いつか何かのタイトルに使いたいと思っていた。古風な比喩的言い回しだが、伝統へのこだわりと突飛な技法が組み合わさったあの小説には、まさにぴったりのタイトルだった」と独創的なタイトルにまつわる秘話も披露している。
〈以下略〉
(全文はリンク先へ:映画.com/2019年4月30日)
ソースとなったIndiewireの元記事は見当たらなかったのですが、スミソニアンのニュース「‘A Clockwork Orange’ Follow-Up Found in Burgess Archives」やガーディアンの「The Clockwork Condition: lost sequel to A Clockwork Orange discovered」の記事を読む限り、続編「小説」と呼ぶには無理がありそうです。「それは200ページに及ぶタイプされた下書き、メモ、そしてアウトラインで構成」とあるので、おそらく草案・骨子・下書きといった程度でしょう。制作年は1972年~73年。公開された『時計じかけのオレンジ』人気に目をつけた出版社がバージェスに「時計じかけ」タイトルの続編制作をもちかけ、バージェスも書こうと試みたのもの頓挫してしまったという、よくあるボツプロジェクトだったようです。バージェス本人も「The Clockwork Conditionはアイデア段階以上に発展しなかった」と1975年のインタビューで応えていると記事にはあります。その頓挫したプロジェクトの代わりにバージェスが書き上げた自伝的な短編小説が『Clockwork Testament』(未邦訳)。あまり採り上げられることもないので、大した小説ではないのでは・・・と想像します。
以前の「【企画作品】キューブリックの幻の脚本『燃える秘密』が2018年11月20日にオークションにかけられることが判明」という話題もそうですが、こういった埋もれた原稿を見つけ出した本人は、大衆の耳目を集めたいがために「幻の原稿発見!」などと大げさに騒ぎ立てますが、結局たいしたものではないので、そのまま時間の経過とともに忘れ去られてしまうものです。この件もおそらくこれで終わりでしょう。
『時計じかけのオレンジ』のタイトルの由来は伝えられている通りでした。その記事はこちらにまとめております。