2015年10月6日火曜日

パパが遺した物語

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




1989年。小説家のジェイクは交通事故で妻を亡くし、自らも長期入院することになる。幼い娘ケイティと再会できたのは7ヶ月後で、ケイティに「ずっと一緒だ」と約束しながらも、ジェイクの病は悪化し、ついに他界してしまう。現代、大人になったケイティは大学院で心理学を学んでいるが、過去のトラウマから人を愛することができず、男性とは一夜限りの関係ばかり続けていた。そんな彼女の前に父の小説の大ファンだという青年キャメロンが現れる。彼の誠実な人柄に惹かれながらも、ケイティは大切な一歩を踏み出せない…。

人間ドラマ、とりわけ親子愛を描いて高い評価を得てきたガブリエレ・ムッチーノ監督の新作「パパが遺した物語」は、父と娘の時を超えた愛の物語だ。物語は大きく2つのパートに分かれていて、過去のパートとして、幼いケイティを懸命に愛しながら病や経済的な理由から追いつめられていく父ジェイクの姿を描く部分と、現在パートで、人を愛せなくなったケイティが父の小説を読み、自分を本当に愛してくれる人と出会い未来へと向かう部分。それぞれ丁寧に描かれているのだが、その2つのつながりがあまり上手くない。それは邦題にもなっている“パパが遺した物語”である小説がどんな内容で、それによってケイティの心が救われるというプロセスが雑だからだろうか。父娘の愛と本物の恋愛の2つの愛を描く感動作で豪華で実力ある俳優たちがずらりと揃っているのに、バランスの悪さが目立ってしまった。一方で、幼いケイティを演じる新星カイリー・ロジャースちゃんがあまりにも愛らしく、大人の俳優たちを完全にくってしまうほどの名演をみせてくれるのは嬉しい驚きだ。劇中で効果的に使われる、カーペンターズの名曲「CLOSE TO YOU」の優しいメロディがずっと耳に残る。
【60点】
(原題「FATHERS AND DAUGHTERS」)
(米・伊/ガブリエレ・ムッチーノ監督/ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド、アーロン・ポール、他)
(父娘愛度:★★★★☆)
チケットぴあ

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