2015年2月11日水曜日

激戦 ハート・オブ・ファイト

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








総合格闘技を通して負け犬たちが誇りを取り戻す香港発のアクション・ドラマ「激戦 ハート・オブ・ファイト」。身体をはった格闘シーンはもとより、人間ドラマパートも見ごたえ十分。



元香港ボクシング王者のファイは、八百長に関わって全てを失くしてしまう。借金取りから逃れるようにマカオに逃亡し、今はスポーツジムの雑用係をしながら暮らしていた。ファイが間借りした家では幼い息子を過失事故で死なせて以来、酒浸りの母親クワンとその幼い娘がいた。そんなある日、ファイが勤めるジムに、賞金目当てに格闘技に挑もうとする青年スーチーが入門してくる。彼は、元御曹司ながら今は無一文で、破産して荒れる父親を立ち直らせたいとの思いで、総合格闘技大会出場を目指していた…。



香港映画界で注目のダンテ・ラム監督の新作は、負け組の男2人がタッグを組み、人生の再起をかけて総合格闘技MMAに挑戦する姿を描くスポ根映画。泥臭いストーリーは、王道の展開で、出演するニック・チョン(なんと46歳!)とエディ・ポンの鍛え上げられた肉体が素晴らしい。巨大なタイヤやドラム缶などの廃物を利用した原始的なトレーニングのハングリー精神が、後がない男たちの捨身のファイティング・スピリッツを体現している。総合格闘技には詳しくないが、プロの格闘家も出演するファイトシーンは迫力満点で、思わず手に汗を握った。関節技や寝技など、決して派手ではない技術を巧みに使って辛勝していくスーチーの試合ぶりも説得力がある。一方で、傷ついたクワン母子とファンとの心の交流は、時にユーモアを交えて丁寧に描かれる。人情たっぷりで少々アザとい演出も、男たちの熱いドラマとほど良いバランスをとっているので、さほど気にならない。クライマックス、弟子であるスーチーへの思いと自分自身の誇りをかけて戦いに挑むファンの姿は、希望そのもの。ダンテ・ラム監督はフィルム・ノワールのイメージが強かったが、どうやら思った以上に熱いスピリットを持った映画人のようだ。やはり次世代の香港映画を担うと期待されているだけはある。

【70点】

(原題「UNBEATABLE」)

(香港/ダンテ・ラム監督/ニック・チョン、エディ・ポン、メイ・ティン、他)

(スポ根度:★★★★☆)

チケットぴあ



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激戦 ハート・オブ・ファイト@ぴあ映画生活